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TOPスタッフブログ物流業務について物流アウトソーシングと自社物流の違い、メリット・デメリット、委託先の選び方

公開日: 2021/11/01
更新日: 2024/04/17

物流アウトソーシングと自社物流の違い、メリット・デメリット、委託先の選び方

カテゴリ:物流業務について

物流アウトソーシングと自社物流の違い

ファストファッションが台頭してから、日本のアパレル産業は年々厳しくなってきていると言われています。競争が激化し、市場の要求も多様化する中で、経営資源の有効活用が企業の存続にとってますます重要になってきています。このような状況の中で、多くのアパレル経営者が新たな経営戦略として目を向け始めたのが、物流のアウトソーシングです。自社での物流業務を専門の外部業者に委託することにより、製品開発やマーケティングなどのコア業務に集中することができたり、物流のコストダウンが見込めるメリットがあります。

しかし、委託先の物流会社選びは難しく、間違った選択は、アウトソーシングの効果を大幅に損なうだけでなく、時には企業のブランド価値にも悪影響を及ぼしかねません。実際に、物流アウトソーシングを試みたものの、思い通りの成果を得られずに苦労している企業が少なくないのが現状です。

そこで今回は、アパレル業界で物流アウトソーシングを検討している経営者の皆様に向けて、失敗しない物流会社の選び方を紹介します。どのようなポイントを抑えれば、物流アウトソーシングの成功につながるのか、具体的な選定基準やチェックポイントを詳しく解説していきたいと思います。

アパレル物流・ファッション物流とは

アパレル物流・ファッション物流とはその名の通り、衣類やファッションアイテムを対象とした専門的な物流サービスのことを言います。アパレル商品の流通においては、ただ単に商品を運ぶだけではなく、商品の性質を深く理解し、それに適した細心の注意を払う必要があります。商材が違えばその商材に適した物流が求められます。

例えば、食品業界では商品の鮮度を保つために冷蔵・冷凍倉庫が不可欠ですし、化粧品業界では品質管理や安全性を確保するために、物流倉庫が「化粧品製造許可」を取得している必要があります。ではアパレル・ファッションに特化した物流とは一体何でしょうか。

次にアパレル物流・ファッション物流の特徴について解説します。

アパレル物流・ファッション物流の特徴

アパレルに適した保管

まず、アパレルでは以下の3つの保管方法があります。
三つの保管方法

ケース保管・・・段ボールケースで入荷した商品をそのままパレットで保管します。
ピース保管・・・段ボールケースで入荷した商品を棚入れして、ピース単位(1点ずつ)で保管します。
ハンガー保管・・・折りジワがつかないようにハンガーに吊るした状態で保管します。

ケース保管

ケース保管は、BtoB(卸売)やBtoC(小売)の両方において、効率的な商品保管方法として重宝されています。特に卸売業界では、大量の商品を入荷したままの段ボールケースで保管し、その後出荷することがよくあります。この方法は、手間を省きつつ、商品を迅速に流通させることを可能にします。一方、小売業界では、季節商品や定番アイテムが期待したほど売れなかった場合に、キャリー在庫として保管し、次の販売シーズンまで保持することがあります。これにより、商品を無駄なく活用し、翌年または適切なタイミングでの再販を目指します。

これらのケース保管においては、段ボールケースをパレットの上に積み上げて保管します。この方法では、限られたスペースを最大限に活用するために、パレットラックやネステナーのような保管設備を使用して商品を縦方向に高く積み上げる必要があり、高さを有効活用した倉庫が求められます。

さらに、段ボールケースによる保管は、商品を環境変化から保護し、保管中の品質維持にも寄与します。また、バーコードやRFIDタグなどと組み合わせることで、保管されている商品の追跡と管理の効率性が大幅に向上します。こうしたケース保管の利点を活かすことで、企業は物流コストの削減や在庫管理の最適化を実現することができます。

ピース保管

特にBtoCビジネスモデルにおいて中心的な役割を果たします。ピース保管は、段ボールケースで届いた商品を個々に分けて棚に保管するため、1点ずつの細やかな管理が可能になります。このようなピース単位での保管は、商品のバリエーションが豊富なアパレル産業において特に重宝されます。特にバリエーションが豊富なアパレル商品に置いてサイズや色ごとの正確な在庫把握が容易になります。

アパレル商品のピース保管には、「巣箱(すばこ)」という特殊な保管用具がよく用いられます。これは強化段ボール素材で作られた軽量ながら頑丈な棚で、商品を分類しやすく、かつ効率的に保管できるように設計されています。巣箱はパレット上に積み重ねて保管できるため、大量の商品もフォークリフトやハンドリフトを使って簡単に移動させることができます。この柔軟性により、さまざまなニーズに迅速に対応することが可能になります。

また、重量がある商品、例えば靴などには、より強度が高く耐荷重性に優れたラックが適しています。これにより、重い商品も安全に保管できるだけでなく、空間を最大限に活用することが可能です。
巣箱保管とラック保管

ハンガー保管

ハンガー保管は、特にフォーマルウェアや高級アパレル商品に適した保管方法であり、スーツやドレスなど、見た目の美しさが重要なアイテムを折ジワから守り、その価値を長期間維持するために用いられます。この方法では、各アイテムをハンガーに吊るすことで空間を効率的に活用し、保管時にも商品を容易に確認できるため、在庫管理の手間を軽減できます。

ハンガー保管の利点は、ただ空間を節約するだけでなく、商品の取り扱いや管理の効率化にも寄与します。ハンガーラックに吊るされた状態では、商品が一目で見渡せるため、ピッキングの速度や精度を向上させることができます。また、保管時にハンガーラックにカバーをかけることで、ホコリや直接の光から商品を守り、品質の劣化を防ぐことが可能になります。

季節で変わる保管スペース

季節で変わる保管スペース
アパレルはシーズン性のある商材です。春夏秋冬それぞれに適した商品が生産されることから、様々な種類の商品が保管されます。

例えば、春夏シーズンには、薄手のシャツやブラウス、Tシャツなどの軽い衣料品が主流となり、これらは比較的少ないスペースで大量に保管することが可能です。一方で、秋冬シーズンには、コートやダウン、ニットウェアなどの厚手で体積の大きな衣料品が中心となります。これらの重衣料は、一点あたりの占める体積が大きくなるため、保管に必要なスペースも自然と増加します。

このように、季節によって保管する商品の性質が大きく変わるため、同じ数の在庫を持っていても、春夏と秋冬では必要となる保管スペースの規模が異なります。

多品種小ロット、SKU単位での在庫管理

ピッキング作業イメージ
アパレルは商品数はもちろん、カラーやサイズといったバリエーションが多い商材です。そのため、SKU (Stock keeping Unit)と呼ばれる最小単位で管理する必要があり、在庫管理の難易度が高いと言えます。

(例)1つの品番の商品にカラーが3色、サイズがSMLと3サイズあった場合は、それぞれのカラーとサイズの組み合わせで独立したSKUが割り当てられます。したがって、3色×3サイズ=9SKUとなります。

SKU単位で正しく在庫管理ができていると、在庫の正確な追跡、管理が可能になり、需要予測、発注、販売戦略の精度を高めることができます。逆に在庫管理ができていない場合、出荷の際に間違った商品をピッキングしてしまう可能性があり、誤出荷が生まれる原因となります。

アパレル特有の流通加工

最後に、アパレルは単に保管するだけではなく、商品の品質と安全性を保証するため、これらの流通加工プロセスが非常に重要になってきます。特にメーカーや卸はその傾向が強いです。以下アパレルの流通加工の種類を紹介します。

検品・・・製造過程や輸送過程で生じた汚れやほつれなどB品に該当する商品がないか、主には目視でチェックします。色ムラも品質に大きく影響するため丁寧な目視が求められます。
検針・・・コンベア検針機やX線検査機を用いて、人体に害を及ぼす可能性のある異物(針等)が商品に混入していないかチェックします。
加工・・・商品にブランド価値を与える工程となります。ミシンでブランドネームや洗濯ネームを付けたり、ロックスを用いて下げ札を取り付けます。
補修・・・B品をA品に格上げするために補修したり、折ジワを取るためにプレス(アイロンがけ)します。補修することにより品質を保つことができます。

検品

検品風景
近年では、ほとんどのアパレル商品はコスト効率と生産能力の観点から、中国や東南アジアといった国々で生産されており、そのまま海外で検品されることが通例です。しかし、日本の小売の中には、より厳格な品質基準を設けているところもあり、国内の指定検品所を通した商品でないと、取引しない会社もあり、そのような場合は日本に輸入してから国内で再度検品します。

その他、日本に輸入してから商品に問題が発覚することもあり、その場合は日本で検品した方が早く、また価格的にも安くつきます。

検針

X線検査機
生産時には時折、使用していた針が折れることもあり、生産後、商品に誤って針が混入していないか細心の注意を払ってチェックする必要があります。検針も基本的には検品と同じで、通常は海外で実施されますが、納品先から指定があれば日本の指定検品所を通します。

ただ、針の混入に関しては、消費者にケガをさせてしまう可能性があったり、事故が発生した場合、信頼性の低下はもちろんのこと、取引先との取引が停止してしまうなどリスクが一段と高いです。そのため、特別な理由がない場合でも、リスク低減を目的に海外と国内の両方で検針されることもあります。

一般的な衣料品であれば、コンベア検針機がよく用いられます。この機械は、製品に金属が混入している場合に音で警告してくれます。元々金属部品を含む製品、例えば鞄やアクセサリーの商品にはX 線検査機を使用して内部の状態を詳細に画像でチェックします。これにより製品の安全性をさらに高めることができます。

加工

ミシン加工
先ほどアパレルは海外で生産されることが大半と説明しましたが、加工については少し事情が違います。というのも、メーカーや卸の場合は、海外で生産した商品は日本に入荷後、卸先ごとにブランドタグを付けます。

生産こそ、それなりのロット数のため海外工場も日本の企業を受け入れてくれますが、細かな加工作業になってくると断る工場も多く、結果的に日本で対応せざるを得ない状況になります。

補修

最後、検品でB品判定が下された商品はA品に格上げするために補修を行います。

例えば、汚れのある商品は染み抜きガンという専用の道具を用いて、生地を傷めないように汚れを取ります。その他、ニットの場合は、編み不良や飛び込み不良、縫製不良など様々な不良が発生しますが、こうした不具合も熟練のスタッフが丁寧に手作業で補修します。

その他、一部の商品では製品の見栄えをよくするために実店舗に並べる前に折ジワを取る場合もあります。その場合はプレス(アイロンがけ)を施してから、ハンガー納品と呼ばれるように、店舗に並べられる前にハンガーラックに吊るした状態で出荷します。

アパレル物流会社を選ぶ5つのポイント

ポイント
アパレル物流の特徴を理解したところで、次は実際に自社の物流をアウトソーシングする際に参考になる5つのポイントを紹介します。

アパレル物流の実績があるか

コンベア検針機
大前提として、アパレル商材の取り扱い経験がある物流会社から選んでください。

アパレル物流の特徴でも紹介したように、アパレルは在庫管理の難易度が高いです。商品に適した保管方法を選定したり、SKU単位で細かく在庫管理する必要があります。また、突発的に品質を維持するための流通加工が必要になるケースも多いです。

アウトソーシングする際には、その会社がアパレル特有の物流ニーズに精通しているか、豊富な実績を通じて得たノウハウを有しているかを確認することが極めて重要です。

そのようなノウハウがない物流会社に委託してしまうと、誤出荷が頻発したり、品質の問題による返品や再加工などによって物流コストが膨れ上がる結果となり、顧客への信用度も低下し、アウトソーシングとしては失敗する結果となります。

EC物流の実績があるか

ビーロジスキャン
自社のビジネスがECであれば、EC物流に実績がある物流会社を選定しましょう。インターネット販売の拡大に伴い、迅速かつ正確な商品の発送が重要となってきます。また、ECモールやECカートなどのECシステムと強い連携が取れるWMS(倉庫管理システム)を持っている会社が望ましいです。

その他、ラッピングや熨斗(のし)などの流通加工が発生するのもEC物流の特徴と言えるでしょう。そのため、流通加工に対応しているかどうかもチェックしてください。

注文もピーク時にも迅速な対応が可能か、季節やキャンペーンによる注文変動への柔軟な対応、そして消費者のプライバシーを守るためのセキュリティ対策をしているかも重要です。

BtoB、BtoCの在庫一元管理が可能か

在庫一元管理のメリット
近年ではメーカーが直接消費者に販売するDtoCも活発になってきています。そのため、自社がBtoBとBtoCの両方のビジネスを展開している場合は、両方に実績がある物流会社を選ぶようにしましょう。

中でも、BtoB在庫とBtoC在庫を一元管理してくれる物流会社がおすすめです。両方の注文を効率的に処理することにより、商品の在庫が過剰になるリスクを軽減し、一方で在庫不足による機会損失を未然に防ぐことが可能になります。さらに、物流拠点が集約されることからコストの削減にもなります。

ファッション撮影の対応が可能か

服の撮影
自社に撮影のノウハウがなければ、ファッション撮影に対応している物流会社を選びましょう。

実績のある物流会社であれば、プロフェッショナルなカメラマンはもちろん、経験豊かなモデル、ヘアメイク、適切な設備を備えたスタジオを一気通貫で手配してくれるため、手間が省けます。

中には倉庫に撮影スタジオを併設している物流会社もあります。そのような会社に撮影を依頼すれば、商品入荷後、すぐにプレスして撮影を開始してくれます。撮影後、商品の採寸まで対応してくれる会社であれば、ECサイトに商品を登録するまでのリードタイムを大幅に短縮することができます。

撮影に対応していない物流会社より、いざという時に依頼できる物流会社の方が何かとメリットがあるため、物流のアウトソーシング先で迷った場合は、比較ポイントとして参考にしてみてください。

倉庫見学が可能か

物流倉庫の見学
最後、「百聞は一見にしかず」ということわざがあるように、アウトソーシングする前に、実際の物流現場を見た方が良いです。自社の商品がどのような環境下で保管され、どのようなプロセスを経て出荷されるのか自分の目で確認することで、イメージと現実のギャップを無くすことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?アパレル物流の特徴や、アウトソーシングする際の物流会社の選び方についてご紹介しました。アパレル物流は在庫の難易度が高いだけでなく、商品の取り扱いや流通加工にも特別な注意が必要となります。こうした点を踏まえ物流パートナーを選ぶ際には、その会社がアパレル物流に対する豊富な知識と経験を有しているかどうかが重要な判断基準となります。

弊社トミーズコーポレーションはアパレル物流に28年以上にわたりアパレル物流の実績がある物流会社です。アパレル商材の保管はもちろん、流通加工にも豊富な実績がございます。アパレル商材以外にも様々なものも取り扱っております。

また、BtoB、BtoC問わず柔軟に対応することが可能で、近年では在庫の一元管理も提唱しています。

さらに、近年のECビジネスの拡大に伴い、ECに特化したクラウドWMS「BEELOGI(ビーロジ)」を導入しております。これにより、多様なECシステムとの連携を実現しています。ECビジネスを展開する企業様にとって、在庫管理や物流プロセスの最適化を支援します。

また、商品の魅力を最大限に引き出すための大型撮影スタジオを保有しており、物撮りからモデル撮影まで、幅広いニーズにお応えします。カメラマンはもちろん、モデル、ヘアメイクの手配もワンストップで承りますので、ご安心ください。

アパレル物流のアウトソーシングをお考えであれば、ぜひ弊社トミーズコーポレーションまでお気軽にお問い合わせください。経験豊富なスタッフが、お客様のビジネスニーズに合わせた最適な物流ソリューションをご提案いたします。

アパレル物流をアウトソーシングするならトミーズコーポレーション