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公開日: 2021/05/24
更新日: 2025/11/14

3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは?物流外部委託のメリット・デメリットを紹介

カテゴリ:物流業務について

サードパーディーロジスティクス

近年、ECの拡大や人手不足、納期短縮への要求などを背景に、企業に求められる物流レベルは年々高くなっています。
その結果、倉庫作業や在庫管理、出荷・配送といった物流業務を外部の専門会社に任せる(物流アウトソーシング)動きが広がってきました。

そこでよく登場するのが、「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)」という言葉です。
本記事では、この3PLの意味や背景、メリット・デメリット、業者の選び方までを、わかりやすく解説します。

3PLとは?


3PL図式

3PLとは、サードパーティー・ロジスティクス(Third Party Logistics)の略称です。
Third は 3rd とも表記され、日本では「サンピーエル」「スリーピーエル」といった呼び方で使われています。

簡単に言うと、倉庫保管・在庫管理・入出荷・配送などの物流サービスを、ひとつのパッケージとして提供するビジネスモデルです。
ファーストパーティーが「売り手」であるメーカー、セカンドパーティーが「買い手」である卸や小売だとすると、
そのあいだで物流機能を専門的に担う第三者が、ここでいう「サードパーティー(3PL事業者)」にあたります。

物流は「モノ」を扱う企業にとって経営上の重要な要素であり、いまや単なるコストセンターではなく、
企業の競争力や顧客満足を左右する戦略的な分野と考えられています。

輸送や保管に加えて、荷役、包装、流通加工、情報管理といった
6つの主要な機能が絡み合う物流業務は、専門性が高く、効率的な運営が欠かせません。
以前の記事「物流とは?目的やメリットなど基礎知識から徹底解説いたします」でも説明している通り、3PLを活用することで、企業は自社の人材や資金を、開発・販売などより重要なコア業務に集中させることができます。


3plの定義

物流機能を受託する3PL事業者の役割は多岐にわたります。
単に輸送や保管を代行するだけでなく、物流システムの設計や現場改善の提案を通じて、
企業全体の効率化を支えることが求められています。

例えば、需要予測にもとづく在庫配置の見直し、配送ルートの最適化、倉庫レイアウトの改善など、サプライチェーン全体を視野に入れた提案が可能です。
このように3PL事業者は、

企業の物流業務を単なる外部委託ではなく、経営戦略の一部として支えるパートナー

として位置付けられます。

また、国土交通省は総合物流施策大綱の中で、
3PLを「荷主に対して、物流改革を提案し、包括して物流業務を受託する新しいサービス」として明確に位置付けています。
これにより、物流業務の外部委託は、単なるコスト削減ではなく、企業の競争力を高めるための戦略的な選択であることが強調されています。

物流サービスの進化の背景

もともと物流業界では、輸送を手配するフォワーダーやブローカーなどが、第三者としての役割を担ってきました。

しかし1990年代のアメリカでは、こうした第三者が単なる輸送・保管の手配にとどまらず、
在庫管理や多国間輸送、顧客のオーダー管理といった分野にまでサービスを拡大し、
企業のサプライチェーン全体を支える存在へと進化していきました。

この動きはやがて日本にも波及し、現在の3PLをはじめとした高度な物流サービスが確立されていったと考えられます。

現代の物流業務は、従来の「運ぶ」「保管する」といった基本機能を超え、IT技術の活用や、環境負荷をおさえたエコロジカルな取り組みなど、
付加価値の高いサービスへと進化しています。
こうした取り組みによって、物流は企業活動を支える基盤として、さらに重要な役割を担うようになっています。

3PLが求められている背景


グローバルビジネス

企業が物流を外部委託する背景には、まずグローバル化が大きく影響しています。
世界市場で競争が激しくなる中、企業は限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を、より付加価値の高いコア領域(Core Competence)に集中する必要があります。

その結果、製品開発やマーケティングなど中核分野には積極的に投資が行われ、反対に付加価値が相対的に低いと見なされやすい物流部門は、専門会社へのアウトソーシングが選ばれるケースが増えています。

特に物流は、倉庫運営・在庫管理・輸配送など高度な専門性が求められる領域です。
自社運営ではノウハウ不足や非効率によって、かえってコスト増につながる可能性もあります。
さらに多くの企業は物流を「コストセンター」と捉えているため、コスト削減の観点からも外部委託が進みやすい状況にあります。

一方で、近年は顧客ファースト(顧客中心の経営)の考え方が強まり、単なるコスト削減だけではなく、

顧客満足度につながる“質の高い物流”を実現するための戦略的な物流管理

が求められるようになっています。

配送品質や納品スピードは、顧客体験の重要な要素となり、企業の競争力を左右する時代になりました。
このため、最新技術や専門ノウハウを持つ3PL企業が、単なる外注先ではなく物流パートナーとして重視されるようになっています。

彼らは物流業務を「作業」ではなく、企業全体の戦略を支える基盤として位置付け、効率化・品質向上・顧客満足度向上を同時に実現するサービスを提供します。
その結果、物流アウトソーシングは企業の競争力向上に欠かせない選択肢になりつつあります。

さらに近年では、環境配慮型物流(エコ物流)やDX(デジタルトランスフォーメーション)など、社会的要請にも応えられる外部パートナーの価値が高まり、3PLの需要は今後も拡大すると予想されます。

数字で見る3PLの市場規模

こうした背景を裏付けるように、3PL市場は年々拡大しています。以下は国土交通省の調査結果です。

平成18年度における3PL事業の市場規模は約1兆5,315億円(物流部門売上高シェア 8.7%)と推計される。
また、平成23年度の市場規模は約2兆2,314億円(同 11.2%)であり、5年間で45.7%の伸び率を示し、物流業全体の市場規模の伸び(13.2%)を大きく上回る。

国土交通省「国際競争力強化のための我が国3PL施設整備におけるアウトソーシングの現状及び今後の予測に関する調査

3PLの種類



3PLには、大きく分けて2つの形態が存在します。

アセット型

アセット型とは、自社が保有する倉庫・設備・車両・情報システム(WMS・TMSなど)といった資産(アセット)を使って物流サービスを提供するモデルです。
自社インフラを直接運用するため、サービス品質や作業体制を細かくコントロールできます。

この形態のメリットは、設備を自社で管理していることによる運用の安定性・柔軟性の高さです。
例えば、急な出荷増加や特殊な保管条件が求められるケースにも、比較的迅速に対応できます。
また、資産を継続的に活用することで、長期的にはコスト優位性を確保しやすくなります。

一方で、倉庫や車両などの維持費が大きく、運営開始時には高額な初期投資が必要になる点はデメリットです。
さらに、設備を稼働し続けるためには一定量の業務が必要となるため、顧客規模や案件内容によっては柔軟性が制限されることもあります。

ノンアセット型

ノンアセット型とは、自社では物流資産を保有せず、他社の倉庫や設備を組み合わせてサービスを提供するモデルです。
ノウハウやコンサルティング力を強みとするため、「ナレッジベース型」と呼ばれることもあります。

資産を所有しないことで固定費負担が少なく、経営やオペレーションの柔軟性が高い点が大きな特徴です。
顧客の課題に合わせて最適な外部パートナーを選定できるため、短期的な倉庫増設、地域特化型の配送委託など、
多様なニーズに対応しやすいというメリットがあります。

また、物流戦略の設計や新システム導入支援など、コンサルティング寄りの高付加価値サービスを提供できる点も強みです。

一方で、自社設備を持たないため、物流ネットワークの構築に時間がかかる場合や、外部パートナーの品質に依存するリスクがあります。
そのため、ノンアセット型では、適切な協力会社の選定・品質管理・連携体制が成功の鍵となります。

3PLのメリット・デメリット


3PLのメリット・デメリット

3PLには、物流業務の効率化・品質向上といった大きな利点がある一方、注意すべき課題も存在します。ここでは、それぞれのポイントを分かりやすく整理します。

メリット

最も大きなメリットのひとつは、物流品質の向上です。
3PL事業者は輸送、保管、荷役、包装、流通加工、情報管理など物流の主要機能において高い専門性と経験を持っています。

この専門性に基づく運営により、誤出荷の減少、梱包精度の向上、在庫精度の安定などが実現し、企業のブランド価値向上やリピート顧客の獲得につながります。

次に挙げられるのが、リードタイムの短縮です。
「当日出荷」「翌日配送」が求められる現在、高度な物流体制を自社で構築するには多額の投資と専門人材が必要です。

3PL事業者は既にこうしたインフラと体制を持っているため、荷主企業はそのメリットを即座に享受できます。

また、コスト削減も大きな強みです。
在庫管理の最適化や輸送ルートの見直し、設備投資の不要化など、さまざまな面でコストの最適化が期待できます。

例えば、倉庫の稼働率向上や輸送単価の抑制など、

3PLの運営ノウハウを活用することで総合的な物流コストを大幅に低減できます。

デメリット

一方で、3PLの利用にはいくつかのリスクも存在します。
そのひとつが情報漏洩リスクです。
物流では顧客情報・在庫データ・取引情報など機密性の高いデータを扱うため、外部と情報を共有すること自体に一定のリスクがあります。
信頼できるパートナー選定が非常に重要です。

また、3PLに委託すると、自社の物流ノウハウが蓄積されにくい
というデメリットもあります。
自社運営であれば現場で得られる知見が蓄積されますが、3PL活用時にはそれが得にくくなる場合があります。

さらに、3PLへの依存が強くなると、柔軟な運用が難しくなる可能性があります。
繁忙期の対応や急な出荷条件変更などで、契約範囲により制約が生じることがあるため、契約内容の明確化と事前の取り決めが不可欠です。

このように、3PLには多くのメリットがある一方、リスクも存在します。
そのため、導入を検討する際には、メリットとデメリットを総合的に評価し、自社の事業規模・課題・戦略に合った形で活用することが重要です。

3PL業者の選び方


3PLのコンサルティング

3PL業者は規模・得意分野・提供サービスが大きく異なります。
そのため、自社に最適なパートナーを選ぶには、明確な基準を持ち慎重に比較することが欠かせません。
以下では、3PLを選定する際に特に重要となるポイントを詳しく解説します。

コンサルティング能力

コンサルティング能力は、3PL選びの中でも特に重要な項目です。
荷主企業が物流を外部委託する背景には、「コスト増加」「サービス品質の低下」「現場の非効率化」などの課題があるケースが多く、これらを解決するには高度な分析力・改善力が必要です。

優れた3PL業者は、物流プロセス全体を丁寧に分析し、ボトルネックを正確に把握します。
そのうえで、

  • 物流戦略の再設計
  • 作業フローの最適化
  • コスト削減と品質向上の両立
  • システム設計や運用計画の策定

といった改善提案を行い、企業の物流を戦略的に支える存在になります。
長期的に信頼できるパートナーとなるかどうかは、この能力が非常に大きく影響します。

情報システム構築能力

現代物流において、情報システムは運営の基盤です。
3PL業者には、
EDI(電子データ交換)
WMS(倉庫管理システム)
TMS(輸送管理システム)
などを使いこなし、物流の効率化や可視化を実現する能力が求められます。

例えば、

  • EDI:データの正確性向上・入力ミス削減・取引先との連携強化
  • WMS:入出荷・在庫管理の効率化、リアルタイム在庫の把握
  • TMS:配送ルートの最適化、運賃管理、納期短縮

これらのシステムを「導入できる」だけでなく、荷主企業の要件に合わせてカスタマイズし、既存システムと連携できるかが重要です。
専門エンジニアが在籍し、運用・改善まで対応できる業者であれば、複雑な要件でも安心して任せられます。

物流センターの運営能力

物流センターの運営能力は、3PLの品質を左右する最も実務的なポイントです。
センターでは、入荷・保管・在庫管理・ピッキング・梱包・出荷といった一連の業務が行われ、これらの精度が物流全体の成果につながります。

優れた3PL業者は、最新設備やシステムを活用しつつ、PDCAサイクルを高い頻度で回し、現場改善を継続しています。
これにより、誤出荷の防止・リードタイム短縮・作業効率向上が実現し、最終的にはコスト削減にも寄与します。

また、同じ設備を使っていても、運営ノウハウの違いで品質・コストが大きく変わるため、事例・実績の確認は必須です。
特に自社と同じ業界・商材の取り扱い経験があるかどうかは重要な判断材料になります。

3PL業者の選定では、以上のポイントを総合的に判断することが成功の鍵です。
規模や価格だけにとらわれず、顧客対応・改善力・システム連携・サポート体制など、多面的に評価することで、自社の成長を支える最適な物流パートナーを見つけることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。3PLは、企業の物流業務を包括的に担い、効率化・コスト削減・品質向上を実現する物流アウトソーシングの代表的な仕組みです。
物流が企業競争力を左右する時代において、自社に合った3PLパートナーを選ぶことは、物流戦略成功の重要な鍵となります。

3PLを活用することで、在庫管理や出荷・配送が最適化され、結果として顧客満足度の向上企業全体の成長にもつながります。
一方で、3PL業者の能力や実績には大きな差があるため、サービス内容・改善力・システム対応力などを丁寧に比較し、慎重に選定することが大切です。


弊社トミーズコーポレーションは、中小企業向けアパレル物流に特化した3PL事業者として、多くのお客様に寄り添いながらサービスを提供してまいりました。
輸送機能をあえて持たず、物流センター運営のノウハウに集中することで、入出荷・在庫管理・梱包・配送まで、全工程を高品質かつ効率的に運営しています。

特に、しまむら様をはじめとする量販店・ホームセンターとの取引で必要となるEDIシステム連携では豊富な実績があり、スムーズな取引や迅速な納品体制を構築しています。
またEC需要の増加に合わせ、各種ECシステムとの連携にも対応し、企業様のEC展開や新規参入を支援する体制を整えています。

物流は、企業の事業を支える基盤そのものです。
3PL業者を選ぶ際は、単なるコスト削減だけでなく、自社の事業特性・成長戦略に合うパートナーかどうかを見極めることが何より重要です。
私たちトミーズコーポレーションは、今後もお客様の課題に寄り添い、柔軟で実践的な物流ソリューションを提供してまいります。

自社の物流業務を3PLに委託することをご検討中の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かし、御社の物流課題を共に解決させていただきます。

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