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TOPスタッフブログ物流業務について物流とは?今更聞けない常識をわかりやすく丁寧に解説します

公開日: 2021/04/15
更新日: 2025/11/18

物流とは?今更聞けない常識をわかりやすく丁寧に解説します

カテゴリ:物流業務について

物流とは

近年、「物流」という言葉を耳にする機会が増えましたが、そもそも物流とは何か、はっきり説明できない方も多いかもしれません。
物流を正しく理解することは、ビジネス戦略の立案や効率的な経営を行ううえで、とても重要です。

物流は「商品を運ぶこと」だけではありません。保管・在庫管理・流通加工・情報管理など、さまざまな機能が組み合わさった仕組みであり、コスト削減顧客満足度の向上にも大きな影響を与えます。
本記事では、「物流とは何か」を解説していきます。

物流とは何だろう?

「物流」と聞いて、まず何を思い浮かべますか?多くの方はトラックや配送作業など、いわゆる輸送を想像するかもしれません。
しかし、輸送は物流を構成する“ひとつの機能”にすぎません。

物流とは、企業が商品を生産し、販売し、最終的に消費者へ届けるまでの「モノの流れ」全体を指す言葉です。
生産、保管、在庫管理、流通加工、輸送、情報管理まで、モノが動くすべての工程が物流に含まれます。

このように物流は、ビジネスのあらゆる場面に深く関わっており、効率的な物流を整えることは企業の競争力を大きく高める重要なポイントになります。

物流という言葉の由来

「物流」という言葉が広く使われるようになったのは1950年代。日本が高度経済成長期へ入る頃のことです。
当時、アメリカの流通を視察した人々が、アメリカで使われていた Physical Distribution(フィジカル・ディストリビューション) という概念を日本に紹介しました。

この言葉は日本語で物的流通と訳され、やがて略される形で「物流」という言葉が定着していきました。
現在では国内外問わず、ビジネスの基本用語として広く使われています。

物流と商流の違い

物流とよく比較される言葉に商流(Commercial Distribution)があります。
物流が「モノの動き」を扱うのに対し、商流は取引の動き(所有権・金銭・情報の移動)を指します。

・物流:商品の物理的な移動・保管・管理
・商流:取引に伴う契約・お金の動き・情報のやり取り

役割は違うものの、物流と商流は常にセットで動いています。
どちらも効率よく整えることで、ビジネスのスピードやサービス品質を大きく高めることができます。

ロジスティクスとの違い

近年よく使われるようになった言葉にロジスティクス(Logistics)があります。
物流と同じ意味と思われがちですが、実際にはロジスティクスのほうが概念として広いのが特徴です。

・物流:商品の移動・保管など「物理的な流れ」に関わる活動
・ロジスティクス:物流を含む、サプライチェーン全体の最適化(在庫管理・需要予測・供給計画など)

つまりロジスティクスは、物流をさらに上位の視点から管理する仕組みです。
より詳しく知りたい方は、以下の記事でも詳しく解説しています。

【最新版】ロジスティクスとは?物流との違いを図解でわかりやすく解説

対象領域によって変化する物流


物流の機能と領域

物流は「どの段階を扱うか」によって呼び方や役割が変わります。
製造メーカーを例にすると分かりやすく、製品ができるまでにはさまざまな物流が関係しています。

  • 調達物流:製造に必要な部品を工場に集める流れ
  • 生産物流:工場内で部品や半製品を動かし管理する流れ
  • 販売物流:完成した製品を販売店・顧客へ届ける流れ
  • 回収物流(静脈物流):不良品・廃棄物・リサイクル品を回収する流れ
  • 消費者物流:宅配便・引越しなど、一般消費者向けの物流

これらはすべて製品が生産されてからお客様の手元に届くまでの「モノの流れ」をスムーズにするために欠かせない領域です。

6つの物流機能と管理

物流には、次の6つの基本機能があります。

輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報

ここでは、それぞれの役割をわかりやすく解説します。

輸送

輸送は、モノを物理的に移動させる機能です。
トラック・鉄道・船・航空機などの手段を使い分け、スピード・コスト・量・距離などを考慮して最適な方法を選びます。

  • 緊急性が高く軽い荷物 → 航空輸送
  • 大量・重量物 → 船舶や鉄道

「早く・安く・安全に届ける」ための計画と最適化が、輸送における重要ポイントです。

保管

モノは常に動いているわけではありません。あるタイミングでは保管(ストック)が必要です。

製造前に部品を集めておく、EC販売で在庫を一定量確保するなど、需要に応じて素早く供給できるようにするために倉庫で管理します。

倉庫・物流センターでは、以下のような管理が求められます。

  • 適切な温度・湿度の維持
  • 整理整頓されたロケーション管理
  • セキュリティ対策

保管の最適化は、欠品防止・コスト削減に大きく貢献します。

荷役(にやく)

荷役とは、輸送手段への積み込み・積み下ろしを指します。

トラック、鉄道、船、航空機など、どの輸送でも必ず行われる重要作業であり、時間・労力・安全性に直結します。

近年はパレットやコンテナを活用した標準化が進み、次のような効果が生まれています。

  • 作業時間の短縮
  • 人手負担の軽減
  • 安全性の向上

包装

包装は、商品を衝撃や汚れから守る大切な機能です。
段ボールや通い箱などが一般的で、輸送中の破損防止・積載効率アップにつながります。

近年は環境配慮も重視され、次のような取り組みが増えています。

  • リサイクル素材の使用
  • 生分解性素材(植物由来プラスチック等)の採用
  • 過剰包装の削減

環境に優しい包装は企業価値向上にもつながり、今後ますます重要になります。

流通加工

流通加工とは、販売する前に行う追加加工です。
物流センターで日常的に行われ、市場に出す前の仕上げ工程の役割を果たします。

業界による代表例は以下の通りです。

  • アパレル:値札付け、ラベル貼り、検品、プレス、ハンガー掛け
  • 食品:カット・パック詰め、小分け加工
  • ギフト:ラッピング、詰め合わせ加工

流通加工は、商品の付加価値を高め、消費者が求める「使いやすさ・買いやすさ」を実現します。

情報

現代物流では、モノと同じくらい情報の管理が重要です。

倉庫・輸送・在庫・注文などのデータをデジタルで管理し、迅速で正確なオペレーションを実現します。

代表的なシステムは以下の通りです。

  • EDI:発注・出荷情報を企業間で電子交換する仕組み
  • WMS(倉庫管理システム):入出庫・在庫・ロケーション管理をデジタル化
  • バーコード/RFID:スキャニングによる正確な在庫・入荷管理

これらのデジタル化によりミスが激減し、スピードと正確性が大幅に向上。
結果としてコスト削減・顧客満足度向上にもつながります。

今後求められる物流品質

ここまで物流の基本を解説してきましたが、物流は時代とともに大きく変化し続けており、現代の物流環境を理解することが欠かせません。
特に近年はEC市場が急拡大し、インターネット通販に関わる物流がこれまで以上に重要な役割を担うようになっています。

その一方で、ECの普及により新たな課題も生まれています。これらの課題を解決できなければ、どれだけ良い商品やサービスを持っていてもビジネスの成功は難しくなります。

EC時代の「小口配送」がもたらす変化

Amazonをはじめ、多くのECモールでは送料無料・1点から購入可能が当たり前になりました。
つまり、わずか1点の注文であっても、商品を倉庫からピッキングし、梱包して、消費者へ届ける体制が求められます。

この変化により、従来の「大量在庫をまとめて出荷する」モデルから、個別ピッキング・即時出荷が中心となり、物流倉庫には次のような能力が必要になりました。

  • 商品を1点単位で保管・管理できる仕組み
  • 少量多頻度の注文を素早く処理できるピッキング作業
  • 多様化する商品の在庫管理に対応できる柔軟性

これらはサービス品質向上に欠かせない一方で、物流コスト増加の大きな要因となっています。

頻繁な配送がもたらす輸送課題

ECの小口配送が増えることで、輸送面でも次のような負担が増大しています。

  • トラックの走行回数が増える
  • ドライバー不足の深刻化
  • 高頻度配送による運用コストの上昇

これに対応するために、多くの企業が以下のような施策を取り始めています。

  • 地域ごとの配送をまとめる「集約配送」
  • AIによる最適ルート計画
  • 燃料コストを抑える車両運用の最適化

これらの取り組みは、増え続ける小口配送に対して、輸送品質とコストのバランスを取るために不可欠です。

当日出荷・翌日配送が当たり前の時代へ

消費者のニーズは年々高まり、当日出荷・翌日到着は特別なサービスではなく“標準”になってきました。
このスピード対応は企業にとって大きな負担となり、次のようなコスト増につながっています。

  • 365日対応・24時間稼働による人件費増加
  • 夜間作業・設備稼働に伴う光熱費増加
  • 即時出荷のための在庫管理強化

リードタイム短縮は顧客満足度の向上に直結しますが、同時に大きなコストが発生するため、効率的な運用が求められます。

企業に求められる「物流品質の向上」と「コスト最適化」

EC市場の成長により、物流は企業にとって“最重要課題”のひとつとなりました。
しかし、製造業や小売業の多くでは、物流の専門知識や経験が不足しているケースが少なくありません。

そのため、近年では以下のような手段を選ぶ企業が増えています。

  • 物流アウトソーシング(3PL)による外部委託
  • 物流コンサルティングによる改善・再構築

専門家の力を借りることで、物流コスト削減・業務効率化・サービス品質向上を同時に実現し、競争力を高めることができます。

物流アウトソーシングついてはこちらをご覧ください!

物流アウトソーシングと自社物流の違い、メリット・デメリット、委託先の選び方について解説しております。

グローバルな視点から見た物流

物流を世界規模で見ると、国内物流とは比べものにならないほど複雑になります。
国境を越えると、商品の輸送だけではなく、各国の法律・文化・経済事情に合わせた対応が必要になるためです。

例えば、アジアからヨーロッパへ商品を輸送する場合、複数の国の税関を通過する必要があります。
そのため、国際物流には詳細な計画と正確な調整が求められます。

国際貿易の影響

世界各国は、それぞれ異なる輸入規制・税制を持っています。
国際物流では、これらを理解し、適切に対応することが不可欠です。

例として、ある国では特定の原材料に高い関税がかかる場合があり、それが最終的な販売価格に大きな影響を与えることがあります。
つまり、国際物流では、輸送コストだけでなく、関税・税務・通関手続きなどの総合的な知識が求められるのです。

異文化間の調整

海外とのビジネスでは、文化的な違いが物流に直接影響します。

  • 国によって祝日が異なるため、配送スケジュールの調整が必要
  • 市場によって求められる梱包デザイン・表示方法が異なる
  • 商慣習が異なるため、数量・納期の合意方法も変わる

文化に配慮しながら対応することで、商品が海外市場で受け入れられやすくなり、スムーズな物流オペレーションが可能になります。

テクノロジーの活用

グローバル物流を支える上で、最新テクノロジーの導入は欠かせません。
特に次のような技術は、国際物流の効率を大幅に高めます。

  • リアルタイム追跡システム:貨物の位置や状況を常時把握できる
  • 自動化倉庫(ロボティクス):仕分け・保管・出荷スピードが向上
  • クラウド型物流システム:グローバル拠点の情報共有を円滑化
  • AIによる需要予測・最適ルート計算:コスト削減と納期短縮に貢献

これらの技術を活用することで、国際物流に必要な「スピード・コスト・正確性」を高いレベルで両立させることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。物流のしくみを理解することは、ビジネスの土台を理解することと同じ意味を持ちます。
特に競争が激化する現代では、効率的で強い物流システムを構築できるかどうかが、企業の成長と持続可能性を左右します。

自社の物流に課題があるままでは、コスト増大・機会損失・サービス低下といった問題が積み重なり、ビジネス全体の競争力が低下してしまいます。
そのため、まずは現状の物流を見直し、改善ポイントを明確にすることが重要です。

より高い物流品質を実現するためには、専門知識を持つ物流パートナーとの連携が不可欠です。
外部の知見を取り入れることで、コスト最適化・業務効率化・サービス向上を同時に実現でき、市場環境の変化にも柔軟に対応できるようになります。

物流を「単なる裏方業務」と捉えるのではなく、企業戦略の中心に据えることで、新規事業の展開や新しい市場への進出も現実的になります。
物流を戦略的に整えることは、これからの時代におけるビジネス成功の鍵となるでしょう。

 

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