【プロが解説】倉庫の棚卸とは?目的や効率化させる方法など

「棚卸(たなおろし)ってよく聞くけど、じつはイマイチ分かっていない……」とお悩みではありませんか?
棚卸は税務調査の対象でもあるため、在庫を持つ事業者なら、しっかりとやっておきたいところです。
そこで今回は、棚卸の基礎知識を解説します。
この記事を読めば、倉庫の棚卸について、効率化させる方法も分かりますよ。
目次
棚卸しとは
棚卸とは簡単に言うと、在庫を数える作業のことです。
実地棚卸
実地棚卸とは、実在している在庫(実在庫)の品質や数量を確認することです。
一般的に「倉庫の棚卸」と言えば、この実地棚卸を指します。
帳簿棚卸
帳簿棚卸とは、在庫管理表など帳簿上の情報を基に、仕入れた商品の数から販売した商品の数を差し引いて、残った数を確認することです。
実在庫に対して、帳簿上の在庫は「理論在庫」と呼ぶこともあるので、一緒に覚えておきましょう。
棚卸の3つの目的
ここからは、なぜ棚卸をする必要があるのか、以下3つの目的から解説します。
正確な利益を知る
まず企業であれば、「決算」がありますよね。
決算とは、一定期間における損益を求め、決算日時点における資産、負債、純資産の状況を確定する手続きのことです。
在庫も企業にとって、れっきとした資産。
簡単に言うと、どれだけの資産が残っているのかを調べるために、棚卸をするのです。
経理的に詳しく解説すると、「利益」を確定するためには、「売上」から「売上原価」を引く必要があります。
そして、この売上原価を算出するためには、以下のような計算式が必要です。
つまり、売上原価を算出するために棚卸をする必要があるのです。
なお、企業が販売する目的で一時的に保有している商品、製品、原材料、仕掛品などの在庫を「棚卸資産」と呼ぶので、覚えておきましょう。
実地棚卸と帳簿棚卸で数量差異がないか調べる
本来、実地棚卸と帳簿棚卸で調べた在庫の数は、一致するはずです。
しかし、以下の理由などにより、在庫数が一致しないときがあります。
実地棚卸と帳簿棚卸を実施すれば、両者間の在庫差異を発見することが可能。
もし在庫数に差異があった場合は、基本的に実地棚卸の結果をもとに、帳簿側を修正します。
つまり、棚卸資産を正しく計上するために棚卸をするのです。
実在庫の品質に問題がないか調べる
棚卸には、実在庫の品質に問題がないかをチェックする目的もあります。
商品は入荷してから出荷するまで、必ずしも品質が維持されているとは限りません。
なかには消費期限が越えたり、破損したりしている在庫もあるでしょう。
しかし、発送業務に追われる日々のなかでは、出荷指示がかかった商品以外は、なかなかチェックできないですよね。
品質チェックは棚卸資産を正しく計上するためにも必要なので、できる範囲で実施しましょう。
棚卸しの時期と頻度
決算目的の棚卸であれば、基本的に「決算月(期末)」に「1回」すれば問題ありません。
しかし、在庫管理の精度を高めたい場合は、半年に1回、四半期に1回など棚卸回数を増やすのがおすすめです。
実地棚卸の方法
それではここから、実地棚卸の方法を解説します。
それぞれ解説します。
タグ方式
タグ方式では、担当者が「棚札」と呼ばれる伝票に数えた在庫の数量を記入し、現物に添付していきます。
すべて貼り付けたあとは、担当者がその「棚札」を回収します。
メリットは、目視しやすく、作業漏れが発生しづらいことです。
「棚札」は連番管理されたものを使用するため、仮に回収漏れがあったとしてもすぐに気付けます。
しかしその反面、手間がかかるデメリットも。
また、あくまでも人間が目視で数えるため、数え間違いをしてしまうおそれもあるでしょう。
リスト方式
リスト方式は、あらかじめ在庫管理表などの帳簿を用意し、実在庫数と照らし合わせて確認する方法です。
手間がかからないメリットがあるものの、在庫管理表に書かれていない(計上されていない)在庫は、対象から漏れてしまうデメリットがあります。
またタグ方式と同様に、人間が目視で数えるため、数え間違いをしてしまう可能性は否めません。
棚卸しを正確かつ効率的に実施するための3つの方法
次に、棚卸しを正確かつ効率的に実施するための方法を3つ解説します。
バーコード管理
バーコード管理とは、商品に添付された「バーコード」と「WMS(倉庫管理システム)」を利用する方法です。
棚卸のためだけではなく、在庫管理全般のために導入します。
具体的には、バーコードをハンディーターミナル(業務端末)でスキャンすることで、在庫数、保管場所、倉庫内での移動記録などを入力の手間なしに、WMSを介して管理することが可能です。
前述解説したとおり、タグ方式やリスト方式は人間が目視で数えるため、数え間違いをしてしまうおそれがあります。
一方バーコード管理なら、商品を1点1点スキャンしていくだけで、「どの商品がどこにいくらあるのか」がデータとして蓄積されていくので、「ヒューマンエラー」を引き起こす可能性を極限まで抑えることができるのです。
ただし、システム導入が前提となるため、事業の規模によってはハードルが高く感じてしまう場合もあります。
RFID管理
RFID管理は、ひとまずバーコード管理の発展形と考えてください。
バーコード管理は、バーコードをスキャンすることでその商品のデータを読み取ります。
読み取りは商品一点ずつであり、バーコードへの赤外線の照射距離も数十センチ程度まで近づかなければなりません。
一方RFIDは、電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステムであるため、数メートル離れた位置からでも通信が可能。
そして何よりも、一度に複数の商品のデータを読み取ることができるため、棚卸の効率が格段に上がります。
ただし、印刷すればよいだけのバーコードと違い、情報を記録する「ICチップ」と電波を送受信する「アンテナ」が入った「RFタグ」が必要であるため、コスト的に導入のハードルは高いと言えます。
アウトソーシング(外部委託)
三つ目は、自社の棚卸作業を専門業者に外部委託する方法です。
自社で棚卸する場合は、入念に計画を練らなくてはなりません。
たとえば、以下のような計画です。
しかし、棚卸を外部委託してしまえば、そのようなことをプロに任せられます。
もちろん、棚卸の精度(正確性)も期待できるでしょう。
ただ、費用がかかる点はデメリット。
自社で棚卸を実施した場合のコストと比較して、依頼するか慎重に判断する必要があります。
WMSやRFIDの導入ならトミーズにお任せ
WMSやRFIDの導入なら、弊社トミーズコーポレーションにお任せください。
とくにWMSについては、クラウドWMS「BEELOGi(ビーロジ)」をサービス提供しております。
棚卸はもちろん、倉庫管理全般を最適化することが可能です。
なお、物流コンサルティングや物流のアウトソーシングも承っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
この記事では、棚卸の基礎知識と効率化の方法を解説しました。
棚卸を効率化させるには、システムの導入は必要不可欠です。
これを機に検討してみてはいかがでしょうか。
倉庫システムの導入ならトミーズコーポレーション
