先入れ先出しとは?メリットとデメリット、導入方法について解説
先入れ先出し(FIFO)は、入荷時期の古いものから優先して出荷する在庫管理の基本原則であり、品質維持と利益確保を両立させるために不可欠な手法です。
特に食品業界の「3分の1ルール」に代表されるように、厳格な期限管理が求められる現場では、この徹底が企業の信頼を左右します。
一方で、「作業工数の増加」や「管理の複雑化」といった運用上の課題に悩む担当者様も少なくありません。
本記事では、先入れ先出しの基礎知識から、導入による具体的なメリット・デメリット、そしてWMS(倉庫管理システム)や専用什器を活用した効率的な実現方法までを解説します。
この記事を読めば、現場のミスを減らし、廃棄ロスを最小限に抑えるための実践的なヒントが見つかるはずです。
目次
先入れ先出し(FIFO)とは?メリット・デメリットと導入方法を解説
先入れ先出し(FIFO:First-In First-Out)は、入荷時期の古いものから優先的に出荷・消費する在庫管理の基本的な手法です。
この手法を適切に運用することで、商品の劣化や期限切れによる廃棄リスクを最小限に抑え、常に一定の品質を維持した出荷が可能になります。
本記事では、物流倉庫や店舗運営に欠かせない先入れ先出しの重要性や、導入することで得られるメリット・デメリットを整理して解説します。
さらに、現場でスムーズに運用するための具体的な導入ステップについても触れていきますので、\在庫管理の効率化に向けた一助としてぜひご活用ください。
この記事を読むことで、以下のポイントがわかります。
- 先入れ先出しの定義と物流における重要性
- 導入による具体的なメリットと、注意すべき運用上の課題
- 効率的な運用のためのITツールや設備の活用方法
先入れ先出しと「3分の1ルール」の関係
3分の1ルールは、食品の製造日から賞味期限までの期間を3等分し、メーカー・販売店・消費者の三者で期間を分かち合う商習慣です。
このルールを遵守するためには、在庫を古いものから順に動かす「先入れ先出し」が不可欠な基盤となります。
3分の1ルールの仕組み
このルールでは、期限までの期間を以下の3つのフェーズに分類して管理します。
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納品期限(最初の3分の1)
製造日からこの期間内に、メーカーや卸売業者が小売店へ納品しなければならない期限です。 -
販売期限(次の3分の1)
小売店が店頭で商品を販売できる期間です。この期限を過ぎると、賞味期限内であっても棚から下げられるのが一般的です。 -
消費期間(最後の3分の1)
商品を購入した消費者が、自宅で品質を保ったまま消費できる期間です。
この仕組みにより、消費者の手元に届く時点で十分な期限が残っている状態が維持され、
安心感や満足度の向上につながっています。
在庫管理における「先入れ先出し」の役割
3分の1ルールが機能していても、倉庫や店舗で「先入れ先出し」が徹底されていないと、古い在庫が奥に滞留してしまう可能性があります。
滞留した在庫は、気づいたときには納品期限や販売期限を過ぎており、まだ食べられる状態であっても廃棄せざるを得ません。
正確な在庫ローテーションを行うことは、食品ロスを防ぐだけでなく、企業の信頼性を守ることにも直結します。
先入れ先出しが重要視される理由
先入れ先出しは、食品に限らず、医薬品、化粧品、化学製品、電子部品など「時間の経過とともに品質が変化する商材」すべてにおいて重要な役割を果たします。
消費者保護と社会的責任
消費期限や使用期限を守ることは、企業の信頼を守るための最低条件とされています。
特に医薬品などの場合、期限を過ぎた製品の流通は健康被害を招くリスクがあるため、厳格な管理が求められます。
在庫廃棄の削減による利益向上
期限切れによる廃棄は、商品の原価だけでなく、処分費用や作業工数の損失も招きます。
先入れ先出しを徹底することで、これらの無駄なコストを抑制し、企業の利益率向上に寄与する可能性があります。
鮮度と品質の維持
常に適切なサイクルで出荷される仕組みを整えることで、顧客に高品質な商品を提供し続けることができます。
| 重視されるポイント | 具体的な効果 |
|---|---|
| 消費者保護 | 期限切れの流出を防ぎ、安全性と信頼を確保する |
| 廃棄削減 | 廃棄コストを抑え、環境負荷の低減と利益確保を両立する |
| 品質維持 | 商品の鮮度を保ち、顧客満足度やリピート率を高める |
このように、先入れ先出しは単なる作業手順ではなく、品質管理とコスト管理を同時に実現するための重要な経営戦略といえます。
先入れ先出しを導入するメリット
先入れ先出しの導入は、商品の品質維持だけでなく、リスク管理や経済的な合理性の面でも多くの利点をもたらします。
主なメリットは以下の3点です。
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1. 鮮度と品質の維持による信頼向上
商品の多くは、たとえ期限内であっても時間の経過とともに品質が緩やかに変化します。
先入れ先出しによって常に適切なサイクルで商品が入れ替わることで、消費者は常に高い品質の商品を手に取ることが可能になります。新鮮な商品が並ぶことは、顧客満足度の向上に直結します。
良好な購買体験はリピート利用を促し、結果としてブランドや店舗に対する信頼の蓄積に寄与する可能性があるでしょう。 -
2. 期限切れに伴うクレームやリスクの防止
管理が不十分で期限切れの商品が混入してしまうと、顧客の信頼を損なうだけでなく、重大なクレームや健康被害を招く恐れがあります。
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ブランドイメージの保護
SNS等で情報が拡散されやすい現代において、品質トラブルの未然防止は極めて重要です。 -
法的・社会的責任の遂行
特に医薬品や食品を扱う場合、期限管理の徹底は企業の社会的責任(CSR)を果たす上での基本となります。
正確な先入れ先出しを継続することで、こうしたリスクを最小限に抑え、
安定した事業運営を継続しやすくなります。 -
ブランドイメージの保護
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3. 在庫廃棄(ロス)の削減とコスト最適化
期限を過ぎた商品は販売できなくなるため、仕入れ原価がそのまま損失となるだけでなく、
廃棄のための処理費用も発生します。-
機会損失の回避
売れるはずだった商品を廃棄せず、確実に販売サイクルに乗せることで利益を最大化します。 -
環境負荷の低減
廃棄物を減らすことは、持続可能な社会への貢献(SDGs)としても評価される側面があります。
廃棄コストを抑制することで生まれた余裕を、新たなプロモーションや設備投資に充てることができ、
経営リソースの有効活用にもつながります。 -
機会損失の回避
先入れ先出しのデメリットと運用の課題
先入れ先出しは多くの利点がある一方で、運用のためのコストや工数が発生するという側面もあります。
導入を検討する際は、以下の課題を把握しておくことが重要です。
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1. 厳密な期限・ロット管理の工数
先入れ先出しを正しく機能させるには、入庫時に対象商品の「消費期限」や「製造ロット」を正確に記録しなければなりません。
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管理の複雑化
商品数が多い場合、どの在庫を優先すべきかの判断に時間がかかる可能性があります。 -
ヒューマンエラーのリスク
手書きの帳簿やExcelによるアナログ管理では、記録漏れや出荷ミスのリスクが懸念されます。
これらの課題を解決するためにWMS(倉庫管理システム)の導入が推奨されますが、
システムの導入コストや操作の習得といった初期負担も考慮する必要があります。 -
管理の複雑化
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2. 専用設備(マテハン)の導入コスト
効率的な先入れ先出しを物理的にサポートするには、
専用の什器やマテハン(マテリアルハンドリング機器)の活用が有効です。-
設備の例
奥から手前へ商品が流れる「流動ラック」や、ピッキングを効率化する「ピックラック」など。 -
コスト面
これらの設備は、通常の固定棚に比べて導入費用が高額になる傾向があります。
自社の在庫規模や商品の回転率を考慮し、投資対効果に見合った設備選定を行うことが大切です。
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設備の例
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3. 作業負荷と保管効率への影響
運用の仕組みによっては、作業員の負担増やスペース効率の低下を招く場合があります。
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作業時間の増加
例えばパレット積みの場合、下段にある古い在庫を取り出すために、
上段の荷物を移動させる「荷繰り」作業が発生し、工数が増える可能性があります。 -
保管スペースの制限
先入れ先出しをスムーズに行うための通路確保や専用ラックの設置により、
単純な積み上げ保管と比較して、倉庫内の保管効率が低下する場合がある点に注意が必要です。
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作業時間の増加
先入れ先出しを実現するための具体的な方法
先入れ先出しを確実に運用するには、現場の「仕組み化」が不可欠です。
ここでは、効率を高めるための代表的な3つの手法を紹介します。
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1. フリーロケーションの採用
フリーロケーションとは、商品の保管場所を固定せず、
入庫のたびに空いているスペースへ柔軟に配置する管理手法です。特定の場所に同じ商品を固定して置く「固定ロケーション」では、
古い在庫の上に新しい在庫を重ねてしまい、先入れ先出しが困難になるケースが少なくありません。
フリーロケーションを導入し、入庫ロットごとに保管場所を分けることで、
新旧の在庫が混ざるリスクを抑えられます。特に、多品種少量の商材や消費期限が短い商品を扱う場合に有効な手法といえます。
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2. WMS(倉庫管理システム)の活用
「先入れ先出し」を自動化し、ヒューマンエラーを最小限に抑えるには、
WMS(倉庫管理システム)の導入が推奨されます。バーコード管理を活用したWMSを導入することで、以下の効果が期待できます。
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精度の高い在庫管理
入荷日や消費期限、ロット番号をデジタルで一元管理し、情報の食い違いを防ぎます。 -
自動的な作業指示
出荷時には、システムが「最も期限が古い在庫」を自動で判別し、ピッキング指示を出します。
作業者が意識せずとも、自然に先入れ先出しが実行される仕組みを構築できます。 -
効率化とコスト削減
ピッキングルートの最適化によりリードタイムが短縮されるほか、
期限切れに伴う廃棄コストの抑制にもつながります。
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精度の高い在庫管理
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3. ピックラック(流動ラック)の導入
物理的な構造によって先入れ先出しを強制する「ピックラック」などの什器を活用するのも一つの方法です。
ピックラックは棚に傾斜とローラーがついており、背後から商品を補充すると、
重力によって古い在庫が前面に押し出される仕組みになっています。-
メリット
作業者は常に手前にある商品を取るだけで済むため、ピッキングの迷いがなくなります。 -
活用例
コンビニエンスストアの飲料棚や、出荷頻度の高い小口商品の保管に適しています。
-
メリット
このように、保管ルール(フリーロケーション)、情報管理(WMS)、設備(ピックラック)の3つの観点から
自社に合った手法を組み合わせることが、運用の定着への近道となります。
まとめ:先入れ先出しで品質維持とコスト削減を両立
先入れ先出し(FIFO)は、商品の鮮度を保ち、期限切れによる廃棄リスクを最小限に抑えるために欠かせない在庫管理手法です。
特に「3分の1ルール」が適用される食品業界や、厳格な品質管理が求められる医薬品・精密機器などの分野では、
企業の信頼を守るための重要な基盤となります。
今回のポイントを振り返ると以下の通りです。
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メリット
鮮度維持による顧客満足度の向上、廃棄ロスの削減、重大なクレームの防止。 -
課題
管理工数の増加や専用設備の導入コスト、保管効率の低下。 -
解決策
WMS(倉庫管理システム)やフリーロケーション、流動ラックの活用。
手動での管理には限界があるため、確実な運用にはシステムの導入が推奨されます。
弊社のクラウドWMS「BEELOGI(ビーロジ)」は、物流現場のノウハウを凝縮し、
高度な期限管理やロット管理を直感的な操作で実現します。
「先入れ先出しの徹底で現場の課題を解決したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
FAQ:先入れ先出しに関するよくある質問
記事の内容を踏まえ、導入を検討される方が抱きやすい疑問をFAQ形式でまとめました。
Q1. 先入れ先出しを導入すると、作業時間はどのくらい増えますか?
+
Q1. 先入れ先出しを導入すると、作業時間はどのくらい増えますか?
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運用方法によります。アナログ管理では「古い在庫を探す・取り出す」手間が増えやすい一方で、WMSや流動ラック(ピックラック)を導入すれば、指示に沿って動くだけで済むため、
むしろ作業効率が向上する可能性があります。
Q2. 消費期限がない商品でも、先入れ先出しは必要ですか?
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Q2. 消費期限がない商品でも、先入れ先出しは必要ですか?
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推奨されます。明示的な期限がなくても、長期間の保管による梱包の劣化(日焼けや埃)や、製品の型落ちを防ぐことができるため、常に最新の状態を保つ上で有効です。
Q3. WMSを導入せずに先入れ先出しを徹底するコツはありますか?
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Q3. WMSを導入せずに先入れ先出しを徹底するコツはありますか?
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可能です。たとえば、以下のような「物理ルール」と「見える化」を組み合わせる方法が考えられます。
- 棚に「右から入れて左から出す」などの固定ルールを設定する
- 入荷日を大きく記載したラベルを貼り、誰でも判断できる状態にする
- ロットごとに保管場所を分け、新旧在庫が混ざらないようにする
ただし、物量が増えるとミスが起きやすくなるため、段階的にシステム化(WMS導入など)を検討することをおすすめします。



