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公開日: 2021/08/30

サプライチェーンマネージメント(SCM)とは?ロジスティクスとの違いについて解説

カテゴリ:物流業務について

サプライチェーンマネージメントとは

サプライチェーンマネージメント(SCM)という言葉を聞いたことはありますか?製造業や小売業に携わっている方なら一度や二度ぐらい聞いたことがあるのではないでしょうか。サプライチェーンマネージメントはビジネス用語ではありますが、私たちの日常生活とも非常に密接しています。サプライチェーンマネージメントを正しく理解することで経営を戦略的に捉えることができます。そのため、本日はサプライチェーンマネージメントはもちろん、混同されやすいロジスティクスとの違いについて解説いたします。

サプライチェーンとは

サプライチェーンは英語ではSupply Chainと表記されます。日本語では供給連鎖を意味します。通常、製品は原材料の調達、製品の製造や販売といったプロセスを通り、最終的に消費者に渡り消費されます。サプライチェーンはこの一連の流れを指します。これを各企業の立場で整理して考えると、サプライヤー → メーカー → 物流事業者 → 卸売事業者 → 小売事業者 → 消費者という流れになります。この流れの中で繰り返される供給の連鎖が、チェーン(鎖)に見立てられることからサプライチェーンと呼ばれています。

サプライチェーンマネージメント(SCM)とは

SCMとは
サプライチェーンマネージメントは英語ではSupply chain management(SCM)と表記され、日本語では供給連鎖管理と訳されます。先ほど説明したサプライチェーンを一つのビジネスプロセスとして捉え、企業や組織の壁を越えてプロセスの全体最適化を継続的に行い、製品・サービスの顧客付加価値を高め、企業に高収益をもたらす戦略的な経営管理手法です。

サプライチェーンを管理していく上で重要なのは情報の共有化です。通常、情報はモノの流れとは逆方向に流れます。消費者の声(レビュー)は小売業者に届き、その評価やPOS入力の情報を元に販売計画が修正されます。その後、卸業者を経てメーカーに発注数量が伝達されます。それを受けたメーカーは生産計画を修正し、サプライヤーに材料や部品を発注します。

情報の共有化がうまくできていないと需要に対して供給が追い付かなかったり、リードタイムが長期化する恐れがあります。それは消費者が求めるものではありません。消費者は自分が欲しい商品をできるだけ早く手にしたいと考えています。リードタイムを短縮し、常に需要が求める量の供給ができるようにするために情報の伝達を最適化する必要があります。

他にサプライチェーンマネージメントの目的として在庫管理の適正化があります。消費者が求める在庫数を常に確保しておくとなると、ついつい在庫を増やしてしまいます。そうなると時に供給が需要を越えてしまい、企業は不良在庫を抱えてしまいます。不良在庫は企業の利益を圧迫する最大のリスクです。そのため、予め需要予測を行った上で販売計画と生産計画を繋ぎ合わせ、各企業が不良在庫を抱えないように企業同士が連携する必要があります。

つまりサプライチェーンマネジメントはモノの流れと情報の流れを管理し、最適化を図り、適切なタイミングで適切な製品を市場に投入し、さらにそこから得られる情報を新たなビジネスへと繋げていくことを目的としています。

サプライチェーンマネージメントが再注目される理由

ITの普及
サプライチェーンマネージメントは1982年にブーズ・アレン・ハミルトンのK.R.オリバーとM.D.ウェバーがこの言葉を初めて用いたとされていますが、約40年前のこの時代は今ほどIT技術は発達していませんでした。ITと言っても各端末がネットワークで繋がっている現代とは違い、個々のコンピューターが演算処理をしているのみの技術でした。また、そのIT技術も大手企業こそ導入はできていましたが、中小企業は費用面から導入を見送るケースが多かったのも事実です。

しかしながら、近年はインターネットが普及し、企業ないしは個人がパソコンやスマートフォンといったインターネット端末を持つようになり、これまで高額であった業務アプリケーションもクラウドサービスが台頭してからは費用面の安さから中小企業にも導入されるようになりました。その結果、サプライヤー、メーカー、物流事業者、卸売事業者、小売事業者、消費者といった立場の違う物でも迅速な情報共有ができるようになり、サプライチェーンを管理するための基盤が整ったと言えます。

サプライチェーンマネジメント(SCM)システム

サプライチェーンマネジメントを最適化するためにはシステムが必要不可欠です。サプライチェーンマネジメントシステム(SCMシステム)には主に「需要予測」「発注計画」「需要調整」「受注管理」「在庫管理」「生産計画」「情報追跡」などの機能が実装されています。

ERP

SCMと一緒によく紹介さえるのがERPです。ERPとは英語のEnterprise Resource Planning(企業資源計画)の略語で、日本では統合基幹業務システムやERPパッケージとして認識されています。ERPパッケージはさまざまな部門の資源を一元管理することが可能なシステムです。そのため、経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点で大きなメリットが存在します。ERPにおいては、あらゆる業務の情報を一元管理し、経営の可視化を行い、SCMのデータもERPで一元化する情報に含まれます。すなわち、SCMはERPの一部と言えるでしょう。

サプライチェーンマネージメントとロジスティクスの違い

サプライチェーンマネージメントとロジスティクスは似ていますが少しニュアンスが違います。ロジスティクスは単体企業の調達、生産、販売、回収までの供給プロセスを一元管理することで最適化を目指すものですが、サプライチェーンマネージメントはサプライチェーンを構成する複数の企業を対象とします。つまりロジスティクスよりサプライチェーンマネージメントの方が広義の意味を持ちます。

サプライチェーンマネージメントの課題

サプライチェーンには様々なメリットがあることがご理解いただけたかと思いますが、課題があるのも事実です。また、業界によって抱えている課題は様々です。今回はアパレル産業を事例にしてご紹介いたします。

アパレル産業のサプライチェーンの課題

株式会社矢野経済研究所の調査によるとアパレル企業のサプライチェーンマネージメントの課題は以下の通りです。

アパレル企業におけるサプライチェーンマネジメント(SCM)の優先課題(複数回答)は「在庫の最小化」が54.7%で最も多く、次いで「人材確保、育成」36.0%、「販売機会のロス軽減」「物流の効率化」の29.3%の順だった。

アパレル業界におけるサプライチェーンマネジメントに関する法人アンケート調査(株式会社矢野経済研究所)

次に経済産業省(製造産業局)が発表したアパレル・サプライチェーン研究会報告書によると以下の課題が記載されています。

サプライチェーン内の関係を再構築していくためには、商取引慣行の改善が不可欠である。アパレル企業と製造事業者の間では、歩引きや未引取といった非合理的な商慣行が存在してきた。繊維産業流通構造改革推進協議会(繊維ファッションSCM推進協議会)の活動により、近年はかなり少なくなったといわれているものの、こうした商慣行は未だに残っていると言わざるを得ない。また、アパレル企業と百貨店の間では、懸案となっている休業日、営業時間や販売員の派遣などの諸課題について、一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会と日本百貨店協会で論議の場が設けられるなど、改善に向けた検討も行われているが、ショッピングセンター等課題はまだ残されている。

アパレル・サプライチェーン研究会報告書(経済産業省/製造産業局)

消費者はファッショナブル、クリエイティブな製品を求めるが、コストに敏感でもある。購入方法も、店頭で試着して買うだけでなく、ネットやスマートフォンで検索して購入するケースが増えているが、テナントによるオムニチャネル販売に消極的な商業施設は未だに多く、顧客を遠ざける一因にもなっている。消費者のニーズが多様化し、購入方法や消費スタイルも大きく変化している中で、サプライチェーン全般にわたり、従来の製造方法や販売方法、商取引慣行の見直しが求められている。

アパレル・サプライチェーン研究会報告書(経済産業省/製造産業局)

まとめ

いかがでしたでしょうか?サプライチェーンマネージメントの目的や重要性等について御理解いただけたかと思います。しかしながら課題が多いのも事実です。特にアパレル業界では在庫でお悩みの企業様が非常に多いです。

不良在庫を抱えないためにはしっかりと売り切ることが重要です。そのためにはBtoBやBtoC、またECなどの在庫を保管している物流拠点を集約し、在庫を一元管理する必要があります。異なる販売チャネルでも在庫を一元管理することで機会損失を未然に防ぐことができます。結果的に不良在庫の発生率も下げることができるでしょう。

アパレルの在庫管理でお悩みの場合はお気軽にお問合せください。(※もちろんアパレル以外の商材も豊富な取扱実績がございます。)

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