ECサイトの決済の重要性
経済産業省が公表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26兆1,225億円となり、前年から1兆2,790億円拡大しています。EC市場が拡大する中で、ユーザーがストレスなく購入を完了できる環境づくりは、ECサイト運営においてますます重要になっています。なかでも決済方法は、購入完了前の最後の接点です。どれだけ商品や価格、広告導線が優れていても、購入者が希望する決済手段を選べない場合、カート離脱につながる可能性があります。そのため、集客施策だけでなく、クレジットカード、電子マネー・QRコード決済、コンビニ払い、銀行振込など、ターゲットに合った決済手段を整備することが、機会損失の削減や購入率の改善につながります。今回は、自社のECサイトに導入する決済方法について、現在のユーザーの利用割合や、それぞれの決済手段の特徴を紹介します。
ECサイトの決済方法の利用割合
総務省「令和7年通信利用動向調査」では、インターネットで商品を購入する際の決済手段に関する調査結果が公表されています。同調査によると、最も利用割合が高いのはクレジットカード払いで79.7%です。次いで、電子マネーによる支払い(QRコード決済、楽天Edy、Suicaなど)が45.8%、コンビニエンスストアでの支払いが35.2%、銀行・郵便局の窓口・ATMでの振込・振替が23.3%、インターネットバンキング・モバイルバンキングによる振込が21.3%となっています。この結果から、クレジットカード決済は現在も中心的な決済方法である一方、QRコード決済や電子マネーなどのキャッシュレス決済も無視できない利用割合になっていることが分かります。ECサイトでは、主要な決済方法を複数用意し、購入者が普段使っている支払い方法を選べる状態にしておくことが重要です。
ECサイトの決済方法の種類と特徴
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、ECサイトで最も利用割合が高い決済方法です。オンライン上で支払いが完了するため、購入者にとって利便性が高く、EC事業者にとっても注文から出荷までの流れをスムーズにしやすい点が特徴です。
EC事業者にとってのメリット
- 決済完了後すぐに出荷準備へ進められる
- 入金確認の手間を減らせる
- カゴ落ち対策につながる
- 利用者が多く、ECサイトでは必須に近い
EC事業者にとってのデメリット
- 決済手数料が発生する
- チャージバックや不正利用への対策が必要
- 導入には契約や審査が必要
消費者にとってのメリット
- オンライン上で支払いが完了する
- 手元に現金がなくても購入できる
- カード会社のポイントが貯まる場合がある
- 商品発送までが早い
消費者にとってのデメリット
- カード情報の入力に不安を感じる人もいる
- カードを持っていない人は利用できない
- 使いすぎにつながる可能性がある
向いている業界・商材
アパレル、雑貨、化粧品、健康食品、家電、家具、定期購入商品など、ほぼすべてのECサイトに向いています。
コンビニ決済(前払い)
コンビニ決済は、購入者が注文後にコンビニで代金を支払う決済方法です。クレジットカードを持っていない人や、オンライン上でカード情報を入力したくない人にとって利用しやすい決済方法です。
EC事業者にとってのメリット
- 入金確認後に発送するため、未回収リスクを抑えられる
- 現金払いを希望するユーザーに対応できる
- クレジットカードを持たない層を取り込める
EC事業者にとってのデメリット
- 入金確認まで発送できない
- 未払いキャンセルが発生する場合がある
- 入金管理やステータス管理が必要
消費者にとってのメリット
- クレジットカードがなくても利用できる
- 近くのコンビニで現金支払いができる
- カード情報を入力しなくてよい
消費者にとってのデメリット
- 支払いのためにコンビニへ行く必要がある
- 支払い完了まで商品が発送されない
- 支払い期限を過ぎるとキャンセルになる場合がある
向いている業界・商材
若年層向け商品、アパレル、雑貨、キャラクターグッズ、チケット、予約販売商品などに向いています。
後払い決済(コンビニ・郵便局・銀行)
後払い決済は、購入者が商品を受け取った後に、コンビニや郵便局、銀行などで代金を支払う決済方法です。商品を確認してから支払えるため、初めて利用するECサイトでも安心感を持って購入しやすい点が特徴です。
EC事業者にとってのメリット
- 初回購入のハードルを下げられる
- 入金確認前でも発送できる
- 決済代行会社を利用すれば未回収リスクを抑えられる
EC事業者にとってのデメリット
- 決済手数料が発生する
- 与信審査が必要
- 審査に通らない注文が発生する場合がある
消費者にとってのメリット
- 商品を受け取ってから支払える
- カード情報を入力しなくてよい
- 初めてのショップでも購入しやすい
消費者にとってのデメリット
- 支払いを忘れる可能性がある
- 請求書や支払い番号の管理が必要
- 利用金額に上限がある場合がある
向いている業界・商材
化粧品、健康食品、アパレル、日用品、定期購入、初回購入向け商品に向いています。
銀行振込・郵便振替
銀行振込・郵便振替は、購入者が銀行や郵便局の窓口、ATM、インターネットバンキングなどから代金を振り込む決済方法です。法人取引や高額商品の支払いにも使われる、昔からある決済方法です。
EC事業者にとってのメリット
- 前払いの場合、未回収リスクが少ない
- 決済手数料を抑えやすい
- 法人や高額商品の取引にも対応しやすい
EC事業者にとってのデメリット
- 入金確認や消込作業の手間がかかる
- 振込名義の違いにより確認に時間がかかる場合がある
- 入金確認まで発送できない場合がある
消費者にとってのメリット
- クレジットカードを使わずに支払いができる
- インターネットバンキングがあればスムーズに支払える
- 高額商品でも利用しやすい
消費者にとってのデメリット
- 振込手数料がかかる場合がある
- 銀行やATMで手続きする手間がある
- 入金確認まで商品が発送されない場合がある
向いている業界・商材
法人向け商品、業務用品、工具、家具、家電、高額商品、予約販売商品に向いています。
代金引換
代金引換は、商品を受け取る際に配送ドライバーへ代金を支払う決済方法です。オンライン決済に不安がある購入者にとって、商品到着時に支払える安心感があります。
EC事業者にとってのメリット
- クレジットカードを使わないユーザーにも対応できる
- 配送会社を通じて代金回収ができる
- 手数料を購入者負担に設定しやすい
EC事業者にとってのデメリット
- 受取拒否や長期不在による返品リスクがある
- 往復送料が店舗負担になる可能性がある
- 発送後キャンセルのリスクがある
消費者にとってのメリット
- 商品到着時に支払える
- カード情報を入力しなくてよい
- オンライン決済に抵抗がある人でも利用しやすい
消費者にとってのデメリット
- 受け取り時に現金を用意する必要がある
- 代引手数料がかかる場合がある
- 在宅している必要がある
向いている業界・商材
年齢層が高めのユーザー向け商品、健康食品、日用品、地方向け通販、テレビ・チラシ通販に向いています。
電子マネー・QRコード決済
電子マネー・QRコード決済は、PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY、Suica、楽天Edyなどを利用した決済方法です。スマートフォンで手軽に支払えるため、ECサイトでも重要度が高い決済方法です。
EC事業者にとってのメリット
- スマホユーザーに対応しやすい
- カードを使わない層にも対応できる
- ポイント還元やキャンペーンによる購入促進が期待できる
- 入力負担を減らし、カゴ落ち対策につながる
EC事業者にとってのデメリット
- サービスごとに手数料や入金サイクルが異なる
- 導入サービスが増えると管理が複雑になる
- カートシステムの対応状況に左右される
消費者にとってのメリット
- スマートフォンで簡単に支払いができる
- カード情報を直接入力しなくてよい
- ポイント還元を利用できる場合がある
- 普段使っている決済アプリで購入できる
消費者にとってのデメリット
- 対応していないECサイトでは利用できない
- 残高不足の場合、チャージが必要
- サービスごとに利用条件や上限額が異なる
向いている業界・商材
アパレル、雑貨、コスメ、食品、日用品、キャラクターグッズ、若年層向け商品、リピート購入商品に向いています。
キャリア決済
キャリア決済は、購入代金を携帯電話料金とまとめて支払う決済方法です。クレジットカードを持っていないユーザーでも利用しやすく、スマートフォン経由の購入と相性が良い点が特徴です。
EC事業者にとってのメリット
- カードを持たないユーザーを取り込める
- スマホからの購入と相性が良い
- 比較的スムーズに決済できる
EC事業者にとってのデメリット
- 手数料が高くなる場合がある
- 利用限度額が低めに設定されることがある
- 高額商品には向きにくい
消費者にとってのメリット
- 携帯料金とまとめて支払える
- クレジットカードがなくても利用できる
- スマホ上で簡単に支払いが完了する
消費者にとってのデメリット
- 利用限度額がある
- 使いすぎに気づきにくい
- 契約キャリアによって利用可否が変わる
向いている業界・商材
デジタルコンテンツ、少額商品、若年層向け商品、アプリ関連商品、ファッション雑貨、キャラクターグッズなどに向いています。
ID決済・スマホ決済
ID決済・スマホ決済は、Amazon Pay、楽天ペイ、PayPay、Apple Pay、Google Payなど、外部サービスのアカウント情報を利用して支払う決済方法です。住所やカード情報の入力を省略できるため、購入完了までの手間を減らせます。
EC事業者にとってのメリット
- 入力フォームの離脱を減らせる
- カゴ落ち対策につながる
- 新規顧客でも購入しやすくなる
- スマホ購入との相性が良い
EC事業者にとってのデメリット
- 決済手数料が発生する
- サービスごとに契約条件や入金サイクルが異なる
- 問い合わせ時に確認先が増える場合がある
消費者にとってのメリット
- 住所やカード情報の入力を省略できる
- 普段使っているアカウントで支払える
- スマホでも短時間で購入できる
- ポイント還元を受けられる場合がある
消費者にとってのデメリット
- 対応しているサービスが限られる
- アカウントにログインできないと決済できない
- サービスごとに利用条件が異なる
向いている業界・商材
スマホ経由の購入が多いECサイト、アパレル、コスメ、雑貨、食品、リピート購入商品、ギフト商品に向いています。
ポイント決済
ポイント決済は、ECモールや自社ECサイトで付与されたポイントを購入代金に充当できる決済方法です。リピート購入や販促施策と組み合わせやすく、顧客の囲い込みにもつながります。
EC事業者にとってのメリット
- リピート購入を促進しやすい
- キャンペーンと組み合わせやすい
- 顧客の囲い込みにつながる
- 値引き以外の販促として活用できる
EC事業者にとってのデメリット
- ポイント原資の負担が発生する
- ポイント管理の仕組みが必要
- 付与率を高くしすぎると利益を圧迫する
消費者にとってのメリット
- 貯まったポイントを使って安く購入できる
- 普段利用しているポイントを活用できる
- ポイント還元が購入のきっかけになる
消費者にとってのデメリット
- 利用条件や有効期限がある
- ポイントだけでは全額支払えない場合がある
- 対応しているECサイトでしか使えない場合がある
向いている業界・商材
リピート購入が多い商品、日用品、食品、化粧品、健康食品、アパレル、ECモール販売に向いています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ECサイトの売上を伸ばすにはユーザーの利便性を考えた上で多彩な決済方法を準備しておく方が懸命と言えます。また、決済方法には必ずしも良いといったものはなく、自社ECサイトの取り扱い商材やターゲット(年齢など)にも考慮して選択する必要があるようです。一般的にはクレジットカード決済が多いEC業界ですが、若年層をターゲットにしている場合は積極的にキャリア決済や電子マネー決済の導入をご検討ください。
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