アパレル物流・ファッション物流の重要性と今後
目次
アパレル物流が未来のファッションを形作る――EC時代の「基盤」へ
ファッションはサイクルが速い産業です。シーズンごとの新作や短いトレンドサイクルに合わせ、最新アイテムを遅れなく、破損なく、正確に届ける。その裏側を支えているのがアパレル物流です。オンライン販売の拡大により、スピードと正確さは「顧客体験」を左右する中核指標となり、在庫一元管理、品質保持、迅速な配送体制、返品再販までを統合する“経営インフラ”へと役割が広がっています。
トミーズコーポレーションは、こうした要件に合わせて最適設計したアパレル物流サービスをご提供しています。
アパレル物流の昔と今
昔のアパレル物流:実店舗中心を支える物流
かつては実店舗納品が主軸。工場→倉庫→店舗に至るまで、仕分け・検品・発送準備を細やかに行い、サイズ・カラー別の配分調整など手作業が多い現場でした。SKUの多さゆえ精度が最優先で、作業負荷も高いのが特長でした。
現在のアパレル物流: EC時代へのシフト
ECの拡大に伴い、店舗だけでなく「顧客の玄関先」までが物流の射程になりました。
ファーストリテイリング(ユニクロ、GU)やしまむら、アダストリア(グローバルワーク、ニコアンド)などの大手企業は、自社ECサイトを強化することで売上を伸ばし、直接消費者に商品を届ける機会を増やしています。これに伴い、以下のような新たな取り組みが求められています。
オムニチャネル戦略:オンラインと実店舗の連携強化。
環境配慮型戦略:消費者のサステナビリティ意識に応える物流体制。

出典:アパレル業界 売上高ランキング(業界動向サーチ)
未来のアパレル物流: テクノロジーとサステナビリティの融合
AI・自動化・データ連携が物流のボトルネックを次々に解消しています。たとえば――
リアルタイム可視化:在庫・進捗・配送状況を可視化し、欠品/過剰の抑制。
グリーン物流:置き配・宅配ボックスの活用や適正梱包で再配達とCO2を削減。
このように、アパレル物流は顧客体験を向上させるとともに、環境に配慮した未来型の物流体制へと進化を続けています。
アパレル(ファッション)物流が担う要のシステム群
アパレル物流は「多品種・短サイクル・サイズバリエーション」を統合管理する高度な仕組みが必要です。要点を整理すると――
- 在庫一元管理(WMS):倉庫・店舗・ECの在庫を単一の“真実”に統合、引当ミスや欠品を抑制。
- 需要予測×配分:SKUごとに日次で需要を推定し、配分/補充を自動化。
- 品質保証:検針・検品・ラベル/タグ運用を標準化し、ブランド毀損を防止。
- 返品→再販フロー:状態判定→再包装→再SKU化→在庫復帰までのTAT短縮。
- オムニオペレーション:BOPIS(店舗受取)/店間移動/店舗発送をルール化。
- サステナブル梱包:過剰を避け、破損率と再配達を減らす設計。
複雑さを増す現場に「標準作業×自動化」
全国展開ブランドでは、店舗規模や客層に応じた納品ロットの最適化が不可欠。同じシャツでも色やサイズの違いによってアイテム数が増えやすく、管理が複雑になりがちです。そのため現場では「標準作業」と「歩かせない設計」の組み合わせが効果的です。
返品処理と在庫コントロール
サイズ不一致などによる返品は、対応が遅れると在庫の滞留やキャッシュフローの悪化を招きます。
対応の鍵は、
①可視化(返品理由・発生SKUの特性を日次分析)
②時短(自動受付・ラベル発行・再検品のライン化)
③再販(回復在庫の即時反映)
の3点です。
スピーディーな処理によって在庫回転率を高め、健全な物流サイクルを維持できます。
通販の台頭で高まる重要性――「2024年問題」と再配達
労働時間規制の強化により(いわゆる2024年問題)、長時間労働の是正が進む一方、ドライバー不足や積載効率の要件は厳しくなりました。加えて宅配の再配達は依然として大きな損失源です。
対策は、
①波動対応(週末山への人員/設備配分)
②着日分散(プロモ/告知の設計)
③置き配・ロッカー活用
④適正梱包
の4点。EC拡大と規制強化の両立には、計画主導の運用が鍵です。
トミーズコーポレーションでは、アパレルECに特化した在庫・出荷設計をご用意しています。詳細は以下をご覧ください。
アパレル物流×AI:実装フェーズに入った3つの領域
- 予測と引当:SKU別の需要予測→自動引当(倉庫/店舗/DC間)で欠品・過剰を抑制。
- 倉庫内最適化:入荷波動に応じた動的ロケ配置やピッキングルートの最適化に加え、ロボットを活用した自動搬送で“歩かない”現場へ。
- ラストマイル連携:配送可視化と置き配活用で再配達を抑制、CO2とコストを同時低減。
AIの導入はもはや実験段階を越え、実務に組み込まれる「標準装備」となりつつあります。
需要の変動に即応し、作業効率とサステナビリティを両立することで、アパレル物流はより柔軟で持続可能な仕組みへと進化しています。
テクノロジーを活かした次世代型オペレーションこそが、これからのファッション業界を支える鍵となるでしょう。