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TOPコラム物流2024年問題への対策 効率化とパートナー選び

公開日: 2024/06/06
更新日: 2024/06/11

物流2024年問題への対策 効率化とパートナー選び

はじめに

2024年4月から、トラック運転者の労働時間に対する厳しい法的制限が導入されました。物流業界に多大な影響を及ぼす「2024年問題」が発生します。この新しい法律は、運転者の過労を防ぎ、健康と安全を守ることを目的としており、年間の時間外労働を960時間以内に制限します。これにより、ドライバー不足がさらに深刻化し、物流の停滞や配達遅延が懸念され、多くの企業がその対策に苦慮しています。

EC事業者への「物流の2024年問題」に関する意識調査アンケートによると、「2024年問題が自社のEC事業に影響があると思う」と回答した企業は多数に上り、後述でも紹介しますが、「運送会社を変更する(検討中含む)」と回答している企業も上がっております。この結果からもわかるように、多くの企業が新しい物流パートナーを探す必要に迫られています。


出典:PRTIMES「物流の2024年問題に関する意識調査」

本コラムでは、この2024年問題の具体的な内容と、それが企業に与える影響を詳しく説明します。さらに、企業がこの問題にどう対応すべきか、効率的な物流運営のための具体的な対策や、適切な物流パートナーを選ぶ際のポイントについても解説します。持続可能な物流運営を目指すために、今から準備を始めることが重要です。特に、効果的なパートナーシップの構築が、企業の競争力を維持するための鍵となるでしょう。

2024年問題とは?

2024年問題とは、2024年4月から施行された「働き方改革法案」に基づくドライバーの労働時間制限によって生じる諸問題のことを指します。この法案では、トラック運転者の年間時間外労働を960時間以内に制限し、1日の拘束時間も13時間以内とする厳しい規定が設けられました。

この背景には、長時間労働の常態化が運転者の健康を害し、安全運転にも悪影響を及ぼすという懸念があります。特に、物流業界では長時間労働が常態化しており、ドライバーの過労や事故が問題視されてきました。これを改善するために、労働時間の上限が設定され、健康的で安全な労働環境を確保することが求められています。

さらに、これらの規制は、労働基準法だけではなく、改善基準告示という独自の基準によっても細かく規定されています。例えば、拘束時間や休息時間、連続運転時間などが詳細に設定されており、これらを遵守するためには従来の業務の見直しが不可欠です。また、これにより、物流業界全体が効率化と安全性の向上を図る必要があります。

2024年問題の具体的な内容をもう少し詳しく見てみましょう。まず、年間960時間という時間外労働の上限ですが、これは月平均で80時間となります。これを超えることは法的に禁止され、違反した場合は厳しい罰則が科されます。加えて、1日の拘束時間も13時間以内に制限されるため、運転者が1日に労働できる時間は非常に限られます。これにより、長距離輸送や深夜の配送が難しくなり、物流全体の効率が低下する可能性があります。

この法案の施行により、企業は新たな運行スケジュールの策定や労働時間の管理を厳格に行う必要があります。具体的には、ドライバーのシフトを細かく調整し、無駄のない配送ルートを計画することが求められます。また、ドライバーの健康管理にも注意を払い、定期的な休息を確保するためのシステムを導入することが重要です。

一方で、この規制は物流業界全体にとってもチャンスです。労働環境が改善されることで、ドライバーの定着率が向上し、業界全体のイメージアップにもつながります。また、効率的な物流システムを構築することで、長期的にはコスト削減やサービス向上にも寄与するでしょう。

物流業界の未来を考えると、2024年問題は避けて通れない課題です。しかし、この問題に対して適切な対策を講じることで、企業は新しいビジネスチャンスを掴むことができます。業務の見直しやデジタルツールの導入を通じて、より効率的で安全な物流運営を目指しましょう。

物流業界への影響

この労働時間制限により、物流業界は深刻な影響を受けることが予想されます。まず、ドライバー不足がさらに顕著になり、人件費が増加します。特に、若手ドライバーの確保が難しくなり、高齢化が進む中で、運行管理の難しさが増すでしょう。ドライバーの確保が困難になると、運行スケジュールの調整や新規雇用の費用が増大し、企業の経営に負担がかかります。

また、配達の遅延や物流コストの増大により、荷主企業や消費者にも影響が及びます。特に、生鮮食品や賞味期限の短い商品の品質低下が懸念されています。これにより、消費者の信頼を損ない、売上にも影響を及ぼす可能性があります。例えば、生鮮食品が予定通りに届かない場合、その鮮度が落ちてしまい、消費者に提供する品質が低下します。これが続くと、消費者からの信頼を失い、リピーターの減少や悪い口コミが広がる恐れがあります。

さらに、運行管理の複雑化も問題となります。労働時間制限を遵守しつつ、効率的な運行計画を立てることは容易ではありません。例えば、拘束時間を減らすためには、配送ルートの見直しや、効率的な積載方法の導入が必要です。これには時間とコストがかかりますが、長期的には持続可能な物流運営のために不可欠な投資と言えるでしょう。具体的には、配送ルートの最適化にはGPSシステムの導入やAIによるルート計画の作成が求められます。効率的な積載方法には、荷物の種類や大きさに応じた適切な積み方を研究し、新しい技術や機材を取り入れることが必要です。

さらに、物流コストの増大も見逃せません。ドライバーの労働時間が制限されることで、1回の配送で運べる荷物の量が減少し、結果的にコストが増加します。このコスト増は、荷主企業にも転嫁されるため、全体的な物流コストの上昇につながります。例えば、同じ量の荷物を運ぶためにより多くのドライバーや車両が必要となり、その分燃料費やメンテナンス費用も増加します。これにより、最終的には商品価格の上昇につながり、消費者にも負担がかかります。

このように、労働時間制限の導入は物流業界に多方面での影響を及ぼしますが、これをチャンスと捉えて効率化や革新を進めることが、持続可能な成長に繋がるでしょう。企業は今こそ、労働環境の改善と新しい技術の導入に投資し、競争力を高めるための戦略を練るべきです。

企業が取るべき対策

企業は、まず労働時間管理と業務効率化に注力する必要があります。これにより、運転者の負担を軽減し、効率的な物流運営を実現することができます。具体的には、クラウド型の車両管理システムや配車計画の自動化など、デジタルツールの導入が非常に有効です。また、荷待ち時間を削減するための予約システムの導入や運行計画の見直しも重要な対策です。以下に、企業が取るべき具体的な対策を詳しく説明します。

労働時間管理の徹底

労働時間を正確に管理し、法律を遵守することが重要です。これにより、過労を防ぎ、運転者の健康と安全を守ることができます。具体的には、タイムカードや勤怠管理システムを導入し、労働時間をリアルタイムで把握することが効果的です。これにより、運転者が法定労働時間を超えて働かないようにし、適切な休息を確保できます。また、運行計画を見直し、無駄な労働時間を削減する努力が求められます。例えば、シフトの調整や休憩時間の管理を徹底し、効率的な労働環境を整えることが重要です。

デジタルツールの活用

効率的な運行管理を実現するためには、デジタルツールの活用が不可欠です。クラウド型の車両管理システムを導入することで、車両の位置情報をリアルタイムで把握し、効率的な配車計画を立てることができます。例えば、車両がどこにいるかを瞬時に確認できるため、最適なルートを選択し、無駄な走行を減らすことができます。また、ドライバーの勤怠管理や運行記録をデジタル化することで、業務効率を大幅に向上させることができます。これにより、紙ベースの管理から解放され、データの分析も容易になり、さらなる改善点を見つけやすくなります。

荷待ち時間の削減

荷待ち時間を削減するためには、予約システムの導入が効果的です。これにより、ドライバーが無駄な時間を過ごすことなく、効率的に荷物を積み下ろしすることが可能になります。具体的には、荷主が事前に積み下ろしの予約を行い、その時間に合わせて車両が到着することで、待ち時間を最小限に抑えることができます。また、荷主との連携を強化し、スムーズな荷物の受け渡しを実現することも重要です。例えば、積み下ろし作業のスケジュールを事前に共有し、連携を密にすることで、作業が効率よく行われるようにします。

運行計画の見直し

運行計画を見直し、無駄のない効率的な運行を目指すことが求められます。配送ルートの最適化や積載方法の工夫により、配送効率を向上させることが可能です。例えば、AIやGPSを活用したルート最適化システムを導入することで、最適な配送ルートを自動的に選定し、無駄な走行を削減します。また、積載方法の見直しにより、より多くの荷物を一度に運ぶことができるように工夫します。これにより、配送回数を減らし、燃料費や労働時間を節約することができます。

さらに、高速道路の活用や車両の共有など、柔軟な運行計画を立てることで、労働時間の削減とコストの節約を図ることができます。例えば、高速道路を積極的に利用することで、移動時間を短縮し、効率的に目的地に到達することが可能です。また、複数の企業が車両を共有することで、車両の稼働率を向上させ、コストを分散させることができます。これにより、運行コストを削減し、より効率的な物流運営を実現することができます。

ドライバーの健康管理と働きやすい環境の整備

ドライバーの健康管理も重要な対策の一つです。定期的な健康診断の実施や健康管理アプリの導入を検討することで、ドライバーの健康状態を常に把握し、早期に対処することができます。また、働きやすい環境を整備することも重要です。例えば、ドライバー専用の休憩スペースや仮眠施設を設けることで、長時間の運転による疲労を軽減し、安全な運行をサポートします。

社員教育とスキル向上の支援

社員教育とスキル向上も欠かせません。ドライバーや運行管理者に対して、最新の運行管理システムの使い方や効果的な運転技術を学ぶ研修を定期的に行うことで、全体の業務効率を向上させることができます。また、ドライバーが新しい技術やシステムに適応できるよう、サポート体制を整えることも重要です。

コミュニケーションの強化

最後に、社内外でのコミュニケーションの強化も重要です。社内では、ドライバーと管理者の間で情報を共有し、問題点や改善点を迅速に解決する体制を構築します。社外では、荷主や取引先と密に連絡を取り合い、スムーズな物流を実現するための協力関係を築くことが求められます。これにより、トラブルを未然に防ぎ、信頼性の高い物流サービスを提供することができます。

これらの対策を総合的に実施することで、企業は労働時間制限による影響を最小限に抑え、持続可能な物流運営を実現することができます。デジタルツールの導入や労働環境の改善、効率的な運行計画の立案など、あらゆる面での取り組みが求められます。物流業界が直面する課題を乗り越え、より良い未来を築くために、今から準備を始めましょう。

物流会社の選び方

2024年問題に直面する中で、多くの企業が新しい物流パートナーを探しています。EC事業者への「物流の2024年問題」に関する意識調査アンケートによると、「運送会社を変更する(検討中含む)」と回答した事業者は20%に上りました。この結果からもわかるように、物流会社の選定が企業の将来にとって非常に重要な課題となっています。適切な物流パートナーを選ぶことで、2024年問題のリスクを最小限に抑え、効率的かつ安定した物流運営を実現することができます。


出典:PRTIMES「物流の2024年問題に関する意識調査」

物流会社を選ぶ際には、信頼性や効率性、コストパフォーマンスを重視することが重要です。以下に、物流会社を選ぶ際の具体的なポイントを詳しく解説します。

信頼性の確認

信頼性の高い物流会社を選ぶことは、安定した物流運営を実現するために不可欠です。信頼性を確認するためには、以下のポイントに注目しましょう。

実績と顧客の評価

過去の実績や顧客の評価を参考にすることが有効です。具体的には、企業がどのような顧客と取引してきたか、顧客からのフィードバックや口コミを確認します。長期にわたる取引実績がある企業は、信頼性が高いと判断できます。

ISO認証などの品質管理の証明

ISO認証などの品質管理の証明があるかどうかも確認しましょう。ISO 9001(品質マネジメントシステム)やISO 14001(環境マネジメントシステム)などの認証を取得している企業は、品質管理が徹底されていることが証明されます。これにより、信頼性の高いサービスを提供していることが分かります。

効率性の評価

効率的な物流運営をサポートするためには、最新の技術やシステムを導入している物流会社を選ぶことが重要です。以下の点に注意して選定しましょう。

最新の技術とシステムの導入

クラウド型の管理システムや自動化された配車システムを導入している企業は、効率的なサービスを提供する可能性が高いです。例えば、車両の位置情報をリアルタイムで把握できるシステムや、AIを活用した配車計画システムを導入している企業は、運行管理の効率化を実現しています。

効率的な運行管理

効率的な運行管理を行うためには、デジタルツールの活用が不可欠です。例えば、配送ルートの最適化システムや、運転者の労働時間をリアルタイムで管理するシステムを導入している企業は、無駄のない運行を実現できます。これにより、配送時間の短縮やコスト削減が可能となります。

コストパフォーマンスの検討

コストパフォーマンスも重要な要素です。サービス内容と費用を比較し、最もコストパフォーマンスの高い物流会社を選びましょう。以下の点に注意して検討します。

サービスの質と対応力

単に安いだけでなく、サービスの質や対応力も重要な評価ポイントです。例えば、緊急時の対応力や顧客サポートの充実度も考慮する必要があります。どれだけ迅速かつ丁寧に対応してくれるかは、信頼できるパートナーシップを築くために欠かせません。

総合的なコスト評価

コストパフォーマンスを評価する際には、単なる運送料金だけでなく、総合的なコストを考慮することが重要です。例えば、荷物の取り扱い品質や保険の有無、追加サービスの有料・無料の違いなども考慮に入れます。長期的な視点で見た場合、少し高くても安定したサービスを提供してくれる企業を選ぶことが結果的にコストを抑えることに繋がる場合もあります。

導入事例の確認

導入事例を確認することで、その物流会社の強みや実績を把握することができます。他社の成功事例を参考に、自社のニーズに最適なパートナーを見つけましょう。また、実際に導入された企業の声を聞くことも有効です。以下の点に注意して導入事例を確認しましょう。

他社の成功事例

自社と同じ業界や規模の企業がどのようにして成功したのか、具体的な事例を確認します。例えば、同業他社がどのような課題を解決し、どのような効果を得たのかを知ることで、自社の問題解決に役立つヒントを得ることができます。

実際の利用者の声

実際にサービスを利用している企業の声を聞くことで、導入後のメリットやデメリットを具体的に把握することができます。直接のユーザーフィードバックは、企業が公表している情報よりも信頼性が高く、実際の使用感やサポート体制についての生の声を知ることができます。

2024年問題に対応するためには、適切な物流パートナーを選ぶことが不可欠です。信頼性、効率性、コストパフォーマンスを総合的に評価し、自社のニーズに最適な物流会社を見つけましょう。これにより、物流運営の効率化を図り、2024年問題によるリスクを最小限に抑えることができます。企業が成長し続けるためには、今から準備を始め、適切な対策を講じることが重要です。

まとめ

2024年問題による法改正は既に施行されており、物流業界に大きな変化をもたらしています。企業は、今から具体的な対策を講じ、効果的な物流パートナーを選定することで、この問題を乗り越えることが求められています。持続可能な物流運営を目指し、戦略的な取り組みを進めていくことが重要です。

まずは、自社の現状を正確に把握し、課題を明確にすることが必要です。労働時間管理の徹底やデジタルツールの導入、運行計画の見直しなど、具体的な行動を起こしましょう。また、社員教育や働きやすい環境の整備も忘れてはなりません。これにより、社員のモチベーションを高め、業務の効率化と安全性の向上を図ることができます。

持続可能な物流運営を実現するためには、効率的な業務プロセスと安全な労働環境を確保することが不可欠です。技術の導入や業務の見直しを通じて、運行管理や配送ルートの最適化を図りましょう。また、社員の健康と安全を第一に考え、適切な労働環境を整えることが重要です。定期的な健康診断の実施や働きやすい職場環境の整備により、社員が安心して働ける環境を提供することが求められます。

効果的な物流パートナーシップを構築することで、2024年問題によるリスクを最小限に抑えることができます。信頼性の高い物流会社を選び、効率的な物流運営を実現しましょう。適切なパートナーを選ぶことで、企業全体の物流効率が向上し、コスト削減にもつながります。例えば、最新の技術を導入している物流会社や、柔軟な対応力を持つパートナーと協力することで、予期せぬトラブルにも迅速に対応できる体制を構築できます。

結論として、2024年問題は物流業界にとって避けては通れない課題です。しかし、適切な対策を講じ、効果的な物流パートナーを選定することで、この問題を乗り越えることができます。企業は今から準備を始め、持続可能な物流運営を目指して戦略的に取り組みましょう。これにより、将来的なリスクを軽減し、安定した物流サービスを提供することが可能となります。長期的な視点で見れば、これらの取り組みが企業の競争力を高め、顧客満足度を向上させる鍵となるでしょう。

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