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TOPコラム海外への発送代行サービスを活用する際の6つの重要ポイント

公開日: 2023/09/02
更新日: 2025/05/12

海外への発送代行サービスを活用する際の6つの重要ポイント

円安と世界需要の高まりが追い風に

2025年現在、日本国内では引き続き円安基調が続いており、それに伴い日本製品の海外販売が活況を呈しています。特に「品質への信頼」が厚い日本製品は、アジア圏のみならず欧米でも高い人気を誇っており、小規模事業者による越境EC(国際電子商取引)も拡大傾向にあります。

このような背景のもと、製品を安全かつ効率的に海外へ届ける手段として注目されているのが「発送代行サービス」です。倉庫保管、梱包、通関処理、配送手配までを一貫して委託できるため、リソースの限られた中小企業でも国際展開の第一歩を踏み出すことが可能になります。

しかし、海外発送には国内配送とは異なる独自の注意点が多数存在し、対応を誤ると配送遅延、関税トラブル、クレーム増加など、ビジネスの継続性に関わる問題が発生するおそれがあります。

今回のコラムでは、これから海外への発送代行を検討される方、またはすでに運用している事業者様に向けて、国際物流における実務的な注意点を6つの観点から解説します。

配送方法の選択とその到着期間の把握

海外発送には、配送手段として大きく「国際郵便」と「国際宅配便(クーリエ)」の2系統があります。どちらも発送代行業者によって利用可能で、それぞれに配送速度、コスト、取り扱い国・地域の違いがあります。

まず、日本郵便が提供する代表的な国際郵便サービスは以下の4種類です。

配送方法 特徴 配送目安 コスト感
国際スピード郵便(EMS) 最速、安全性高、追跡可 約3~9日で配達 (宛先により変動) 高め
エコノミー航空便(SAL) 安価、追跡不可の場合あり 約2~3週間(船便より速く航空便より遅い) 安め
船便 最も安価、大量・重量物向け 約1~3か月(最も遅い) 非常に安い

EMSは追跡機能も優れており、高単価商品の発送にも適しています。一方でSALや船便は追跡不可のケースも多く、返品・紛失のリスクも考慮が必要です。

これに加えて、発送代行業者によってはFedEx、DHL、UPS、ヤマト国際宅急便などの民間国際宅配便(クーリエ)サービスにも対応している場合があります。これらは以下のような特長を持ちます。

業者 特徴 到着目安 コスト感
FedEx 越境ECなどの海外発送によく利用されており、EMSで発送できない地域にも配送可 約1~5日(宛先により変動) 高め
DHL 越境ECなどの海外発送で、スピード配送に優れる 約1~5日(宛先により変動) 高め
UPS 北米に強く、追跡精度が高い 約1~5日(宛先により変動) 中〜高
ヤマト国際宅急便 日本語サポート、アジア圏に強み 約2~7日(地域により変動) 中間

クーリエ便は基本的にDDP(Delivered Duty Paid)にも対応しやすく、エンドユーザーにとっても受け取りがスムーズな点が特長です。ただし、配送費は郵便系より高額になる傾向があります。

そのため、商品価格帯、納期の厳しさ、配送先の国・地域事情などに応じて、スピードを重視するのか、コストを優先するのかといった観点で配送方法を使い分けることが大切です。

2025年現在、海外情勢の影響により、一部の国際物流網ではフライト数の減便などにより、安定した配送スケジュールが組みにくい状況が続いています。配送先国の政情やインフラ状況によっては、通常よりも大幅に遅延するケースもあるため、最新の海外のニュース報道や配送業者の公式情報を確認し、現地の状況を把握することが重要です。

禁制品・発送不可商品を事前に把握する

発送代行を利用する前に、発送予定の商品が「輸出可能」かつ「相手国で輸入可能」であることを必ず確認する必要があります。特に以下のカテゴリの商品は注意が必要です。

禁制品・発送不可の可能性のある商品

・リチウムイオン電池を含む製品(スマートフォン・モバイルバッテリー等)
・アルコール・香水(揮発性・危険物扱い)
・食品類(成分、表示規制、検疫が関わる)
・医薬品・健康補助食品(国によっては違法)
・植物や種子、動物由来製品(検疫の対象)

たとえば、日本からアメリカにサプリメントを発送する場合、FDA(食品医薬品局)の認可が必要なケースがあり、正規の手続きを経ていない商品は税関で没収されるリスクがあります。さらに、宗教や文化的背景によって制限される食品も多く存在します。たとえば、イスラム諸国ではハラール認証が求められることがあり、豚肉やアルコールを含む食品はそもそも輸入が禁止されているケースもあります。このように、発送先の文化や宗教的規制を十分に理解したうえで、適切な認可や表示を整えることが重要です。

発送代行業者が「何でも送れる」わけではありません。利用前に「発送NGリスト」や「配送できない国・地域の一覧」などを発送代行会社に確認することを徹底しましょう。

遅延リスクと関税・通関に対する理解を深める

遅延リスクは予測不可能

国際物流では、国内では想定しないような遅延要因が多数存在します。

さまざまな遅延要因

・荷物の積み替えによる遅延
・災害・天候(台風・洪水・雪害)
・政治的不安(デモ・ストライキ)
・通関での混雑(特に年末商戦時期)

2025年の世界情勢では、気候変動や地政学的リスクの影響により、突発的なフライトキャンセルや港湾の混雑・封鎖が発生するケースが増えています。このような不可抗力による配送遅延は事前に完全に防ぐことが難しいため、出荷側としては納期が遅れる可能性があることをあらかじめお客様に説明し、理解を得ておくことが重要です。また、リスク分散のために出荷時期を前倒しにする、複数便に分けて発送するなど、柔軟な対応を組み込んだ運用が求められます。

関税・通関手続きの基礎知識

海外へ商品を発送する際は、たとえ発送代行業者に作業を委託していても、「通関手続き」や「関税の取り扱い」に関する基本的な知識を発送企業側が持っておくことが重要です。なぜなら、通関に必要な情報の多くは、発送企業が正確に提供しなければならないからです。

たとえば、海外に荷物が到着すると、以下の情報をもとに税関で審査が行われます。

インボイス記載の正確性

内容物の品名、数量、単価、原産国などは、企業側が事前に正確な情報を提供しなければなりません。不備や虚偽の記載があると、遅延や返送、課税トラブルの原因となります。

HSコードの指定

商品の国際的な関税分類を示す「HSコード」は、関税率を決定する上で重要な情報です。発送代行業者に任せる場合でも、商品点数が多いと個別対応が難しいため、発送企業があらかじめ適切なコードを把握しておくことが望ましいです。

DDUとDDPの選択

関税や現地の輸入消費税を「誰が負担するか」(=DDU:購入者負担 / DDP:販売者負担)は、顧客満足度や販売方針に直結する重要な判断事項です。

DDU(Delivered Duty Unpaid)は、関税や輸入税を受取人が支払う方式で、販売者にとっては手間やコストが軽減される反面、購入者が関税の追加請求に驚いて受取を拒否する、通関で荷物が保留・返送されるといったトラブルが起こりやすくなります。特にB2C取引では、関税の存在を知らない消費者も多いため、事前の説明が不十分だとクレームや低評価の原因にもなりかねません。

一方、DDP(Delivered Duty Paid)は、関税や輸入税を販売者が事前に負担して配送する方式で、顧客が受け取り時に追加費用を請求されることがなく、安心して購入できるというメリットがあります。ただし、DDP対応には通関の知識や発送代行業者の対応体制も必要になるため、事前にサービスの範囲や費用を確認することが大切です。

梱包品質と費用構造の透明性

長距離輸送で“壊れない”梱包を

海外への発送では、荷物が複数の物流拠点を経由するため、衝撃・湿気・温度変化などあらゆるリスクに晒されます。破損防止のため、以下の対策を標準としましょう。

破損防止のための対策

・内装に十分な緩衝材(プチプチ・紙・発泡スチロールなど)を使用
・商品が動かないよう固定
・ダンボールの厚み・剛性に配慮
・梱包の外に「FRAGILE」や「THIS SIDE UP」のラベルを貼付

国際配送では、荷物が長距離を移動し、複数回の積み替えを伴うため、国内配送以上に丁寧で堅牢な梱包が求められます。商品サイズに合った厚みのある段ボールを使用し、内容物が箱の中で動かないように十分な緩衝材で固定することが基本です。特に壊れやすい商品は、段ボールの二重化や内装の工夫により、破損リスクを最小限に抑える必要があります。

また、「FRAGILE(ワレモノ注意)」「THIS SIDE UP(天地無用)」といったラベルを箱の外側に明示することで、現地輸送時の取扱いが丁寧になることが期待されます。これらのラベル指示は、輸送担当者への視覚的な注意喚起として非常に有効です。

さらに、送り状(Shipping Label)の貼付位置や状態にも注意が必要です。輸送ラベルが破損したり、濡れて判読不能になったりすると、配送遅延や誤配送の原因になります。貼付する際は、外箱の目立つ位置に平らに貼り、必要に応じて透明フィルムで保護するといった工夫を施しましょう。場合によっては、予備の送り状を箱の内側に同封しておくことも推奨されます。

発送代行業者によっては、「簡易梱包」「強化梱包」の選択肢や、ラベル貼付・送り状発行まで代行可能なケースもあります。自社商品の特性や配送先の状況に応じて、適切な梱包レベルと対応内容を選ぶことが、破損・遅延リスクの軽減に繋がります。

発送費用の内訳を明確にする

発送代行を利用する際は、費用が「送料」だけではありません。送料以外に以下のようなコストが掛かります。

送料以外のコスト

・梱包材料費・作業費(ピッキング・ラベル印刷)
・通関書類作成料
・保険料・追跡オプション料金
・システム利用料・月額基本料金
・税関で発生する現地手数料(現地倉庫手数料など)

見積もりの時点では安く見えても、あとから追加請求されるケースもあるため、「何が含まれていて、何が別料金なのか」を契約前に明確にすることが肝要です。できれば2~3社から見積もりを取得して、価格とサービス内容のバランスを比較しましょう。

海外への発送代行は“委託”ではなく“共創”と考える

海外への発送は、国内配送とはまったく別のルールと文化のもとに成立しています。そのため、「発送代行業者に任せたら安心」と油断せず、自社でも最低限の国際物流知識を備えておくことが、トラブル回避とビジネスの信頼性確保につながります。

2025年の現在、越境EC市場は成長し続けており、適切な物流戦略を立てることが差別化の要となってきます。発送代行業者とは一時的な“外注先”ではなく、“海外販売を共に支えるパートナー”として連携を深め、安定した国際取引の基盤を築いていきましょう。

弊社トミーズコーポレーションでは、こうした越境ECにおける課題に対応するため、海外発送対応・通関支援・多国間配送ネットワークを含む「越境EC物流代行サービス」を提供しています。
国・商品・ビジネスモデルに応じた最適な物流をご提案し、貴社の海外展開を支援いたします。

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